カテゴリー「観劇」の192件の記事

ソラまで届け

「シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ」観てきました。

★ネタバレです★

過去の公演の基本情報は実はあんまり把握してない。私は吉野圭吾さんのファンなんですが(5年おきぐらいには自己紹介する)、ファンになった公演が1996年の「マドモアゼル・モーツァルト(以下MM)」つまり音楽座の最終公演in青山劇場だったもんで、生で観た音楽座は(新生はまた別として)その時だけ。「シャボン」はNHKの劇場への招待でやった1991年の回をビデオで観ただけで(それはまあ観たが。何度かは観たが。)、MMやゴーストほどぐわんぐわん食いついて知ろうとした作品、というわけではなかった。
ただ、MMで出会った人々、音楽座が終わってから知り合った人々、あの頃から語り合ってきた人々の体には完全に「シャボン」という作品が血液のように流れており。
なにしろ歌う。なにかにつけて思い出す。懐かしむ。

「にじいろのー」
「レイコーひとつ」
「ブレーーンド」
「アイラブ悠あんちゃん」
「なまってるよ!」

何人かは鬼籍に入ってしまい、今作について語り合うことはできなくなってしまったのだけれども。本当にそのことだけはすんっっっっっごく惜しいのだけれども。
まあ、いや、でも、観てるだろうなあ、ひょっとしたら宇宙の彼方から(笑)。

そんなこんなで、とにかく、私にとっては遠くて、憧れただけの作品で。
でも、憧れだけでもノスタルジーって育つもんだなと(苦笑)
そんな、いろんなことごとが昨日、オーバーチュアが流れた瞬間の「うっわ」に繋がったんだと思います。

新しい「シャボン」素晴らしかった。
旧作へのリスペクトを極限まで保ちつつ、新しい風をいっぱいに吹き込ませて、今だからできる、だけどあの頃の空気をとことん広げてもいる、新も旧も地球も宇宙も宝塚も音楽座もミュージカルもぐっちゃぐちゃに混ざり合ってさあ!(いだてん風)って感じの、とにかく興奮、感情をかき回しまくられる混成チームの集大成。
まあ芳雄君が悠介で土居さんがピアっていう時点でこのへんの「新旧どっちからも来いやァ!」的な勝利を予感してはいた(なあみんな)。

嬉しいなあ。

以下はTwitterに書きたかったネタバレなツボどころぷちぷち。雑多でーす

■悠&佳代
いやもうすばらしいわ二幕あたまのバカップルぶり。あのピアノ鳴らして「か・よ・」の呼吸は芳雄君じゃないと出ないね(笑)(笑)。この場面が幸せであればあるほど、バカであればあるほど、その後の物語が強烈になっていくのだ。鬼のようなゲインロス。
アイラブ悠あんちゃんは佳代のソロ曲はなくなったけど、その後の刑務所でのくだりでBGMに使われててザーザー泣いた。

■「作ろうメロディー」2020
宝塚で曲を作ることになった悠介の曲だから、今回も宝塚調のダンスナンバーになるだろう→マスター出ねえかな→いやちょっとスケジュール的に無理なんじゃ?→(本編観る)→いたわ。うっわこのメンツでラインダンス踊るか。このナンバーだけで新旧融合感ハンパなくね??
→(しかもその後も仕事めっちゃあったわ)→(ああ音楽座音楽座)

■マスター
一番カッコよかった台詞はえげつないマスコミを追ん出して、気がたかぶってるけどさりげない口調を作って言う「今日はこれでもう閉店。」でした。父親ではない、だけど友人という遠さではない。悠介は大人だから、守らなきゃいけない存在ってわけでもない。だけど大事な身内なんだなと。だから佳代のことでは怒りも疑問も抱えてるけど、それは悠介のためなんだな、だから最後も、いろんな感情を抱え込んだまま出て行くんだな…っていう。

■ケンタウルスから秋田県
宇宙人たちのボイスが実に宇宙人しててよかったo(^-^)oこれは今の技術ならでこそだなあと。
しっかし宇宙人だけなら香盤的にはそれなりに余裕あるはずの人たちなのに、UFOの報道のシーンで出てくる流れギリッギリなのむちゃくっちゃ笑う。髪にしろ衣装にしろホントどうしてんだ。力の入れようがすばらしい。そして客席の反応で各ファンの居場所がだいたいわかった(笑)。

■てるくん
トイレの壁GJ(笑)(笑)。
あとマスターとの「UFO」はウラシマ効果の話同様、けっこうお話の雰囲気づくりに対して重要だなーと思った。昭和なのだこの話。黒電話の時代、チャンネルを回すテレビの時代の話。ちょっと昔の物語なのだ。

■覚悟
旧作で結構苦手だったのが、小野が佳代にしたことを何で悠介、お店のみんなの前で言う?っていうところ。(るんせるさんが何度か話題にしてたっけ)。しかも言い回しがキツい。変えるんじゃないかな、正直、変えてほしいなあ…と思ってた。
ら、ずばりそのままだった。
ところが、悠介の言い方で、「ああ…」と。なんかもうボディブロー食らったみたいにショックと納得が同時に来ました。
「あの男は、佳代を、」っていう言葉に、佳代の過去も全ての不幸も飲み込んでから断ち切る勢いで「犯したんです」っていう。
そこに半端なマイルドさを入れない選択に納得したし、尊敬する。

■いっこだけ回顧
どうしても勿体ないのが5000円の一周りルートの縮小(笑)。
・佳代が悠介の財布をする。5000円しか入ってない。
・悠介「5万入ってた」と過大申告
・佳代「拾った」と称して悠介に返す
・「一割返さなきゃ」って悠介が財布の5000円をそっくり佳代に渡す←今作ではここで完結。
前作だと続きがあって
・喫茶店に悠介が戻ってくる時、カウンターに佳代がいる(客として)。
・マスターたちとのやりとりや電話のくだりを佳代は全部聞いてて、聞きながらイライラしてる。
・悠介にブチ切れてしかりつける佳代。
・悠介が出てくとき自分の懐から5000円渡して「もってき!もともとはあんたの金や」と渡す(その通り)。←ここで5000円がついに元に戻る。
・きっぷのよい佳代に惚れ込んだマスターの奥さんが佳代を雇いたいと申し出る。
という流れ。最初に「5万円」って見栄を張ったのが佳代にバレてることに、最後まで悠介が気づかないのがミソ。「佳代が店にずっといる」っていう動線がハードな故の変更かも知れないけど、「5000円」は序盤の主役アイテムだったのだ(笑)。

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なんだかスゲエ2

「金継ぎ」というのがありますよね。一度、欠けてしまったお茶碗とかのかけらをくっつけて、つなぐところを金粉とかで加工して、結果、新たな美しい味わいが生まれるみたいな。
「ロカビリー・ジャック」体調不良で2名の方がお休みとなってしまった3週目の二公演を観たとき、そんなものを連想しました。

本来の公演からするとイレギュラーなんですけど、これはこれで本当に素敵な公演だったので書き留めときたい。
改めて、完成形でやってることが深掘りできた面もある。その後のクリスマスイブに復帰Ver.を観つつしみじみ「2人」って大きかったんだなあ…!と瞠目しましたし。

■魔女まなせ
いやあ美しかった…もう心の中ではダブルキャストです。20日、下手で見てたんだけど変身したルーシーが「え゛ーーーー?!」って叫んで暗転!…という瞬間に客席に向けてウィンク!ってところで射抜かれた(笑)。
台詞のひとつひとつがキュートで、ルーシーやジャックを見守って微笑むありかたも素敵でした。一幕ラストとか、悪魔とすれ違いながら歌ったり、対で立つ姿もめっちゃ綺麗だった。
まだ隠居は早いんじゃない?って感じはありますが(笑)彼女の場合、ルーシーにアメリカを譲ってまた別天地でがんばってるかも知れない。そしで60年ほど後に女優のフリをしてシアタークリエに現れたと(繋がった)。

■ゲロッパ
かちゃさんの休演は知らないで本編見たので、いや、びっくりしたね、ラジカセ持ったデビルウーマンが一人で現れたとき。え??なに???シフトの都合????いや、病欠がもう一人いたってことか…!と思い至るまでけっこうかかった。
そんなリピーターの混乱があの
「一人娘です」「親子?!」
のやりとりで雲散したんでした。ホント、こういう時の空気の作り方が上手だなあぁと感心するし感動する。うまいことジャックの「増えた!」の台詞から空気が繋がるんだよ…二人に戻ってもここの台詞が定着してたら楽しいなと思ってたけどそれはなかった(笑)まあ、ギャラ払うとこのサバサバ感から言って親子ではないだろうけども…逆に一人娘Ver.の時の「もう一枚」おねだりしてぶんどる流れは親子っぽいと言えば言える。

■一人娘
デビルウーマン1人Ver.のダンスも工夫されていてさすがだなーと思った。「大きい悪魔と小さい悪魔」っていう絵だったり、悪魔を挟んで彼女とジャック、っていう絵だったり。
ありさ嬢は法廷の二人組の補佐官?も一人でこなしていた…台詞のカバーも大変だったと思うけど、いつもなら二人で歌うパートを一人で分担するしかないから(かちゃさん声量あるし)(一幕ラストの「例えば夢は一発の弾丸」超好き)、そこも戦いだったことだろう。えらい。
ラストの「オペラ座の悪魔」のフィニッシュもよかったなあ。いつもは女の子を両膝に一人ずつ乗せて正面向きだけど、一人だから抱っこして一拍、向き合った後正面向いて決め、だったからまた親娘っぽい華があった。

■シフト
真瀬さん、冒頭のおばあちゃんの後でベティ(ラスベガスのジャックの元カノinラスベガス)で歌いまくり、その後魔女、という鬼の香盤。いやー見事。
アンサンブルでは細かい工夫で上手に仕上がってました。…こちらはメリー中村百花さんが八面六臂のカバー力を見せつけた。掃除のおばさんの「あたしゃ呆然」を「そして呆然」でカバーしたり、かちゃさんの「一発の弾丸」を引き取ってたり。
陪審員が4人になっちゃったところを裁判長の「有罪か無罪か」を「有罪かウヤムヤか」にすり替えることでかえって爆笑をさらってたのも見事。
ジャックの葛藤のダンスでは魔女が登場しない(かちゃさんも入らないから人数がマイナス2)バージョンになってたのですが、これはこれで「愛こそが全て」「死んでもいいのか」の対比がわかりやすくてよかったなあ。
(そして岡千絵さん復帰後、改めてこの曲における魔女の存在感がドスドス腹に落ちた)

■帰ってきた魔女の話
オズの「善き魔女」っぽいキラキラした雰囲気の真瀬さん魔女を見た後、あらためて観た岡千絵さんの魔女には、「あ、怖いわこの人」という再発見がありました。「500年間魔女をやってきた」っていう彼女の、「人間の欲望が動かしていくんだ」っていう言葉のこう、笑顔だけど緊張させられる空気、一歩間違えたら真っ逆様かもよ?な雰囲気が、ああ、魔女だなあと。考えてみればこのお話、初見の時は「ルーシーが結んだ契約って…?」っていう不安が劇中ずっとついて回っていた。彼女も魂を取られるとかなんらかのリスキーな約束をさせられたんじゃないか、そんな危険さを岡魔女は漂わせていたんだよなあと。だからゲインロス的に終盤のハッピーの度合いも増すってところある。魔女の最後の言葉にも、ルーシーの契約が成立する瞬間にも。

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なんだかスゲエ

「ロカビリー・ジャック」はじまりました。

いやあ、何アレ(笑)。ぐっちゃぐちゃなことをがっつりきっちり、「プロが馬鹿なことやる」の極め方を、「空気は客席と一緒に作るもの」の在り方を、いろんなお約束をぶち壊す脚本と演出とアイデアをトラックに乗せて客席に突っ込んぶちまける。最後は勢い。とにかく勢い。勢いが全てを駆逐する。ああ気持ちいい。

脚本。
ざっくりと見せかけて緻密…と見せかけてざっくり…なんだけどいいか!いいやそれで!!って腹落ちしたのに最後の最後で「回収するんかい!実はよくできてたんかーい!!!!」ってなった。

映像。
ちゃんと舞台装置の一つとして「頼らない」「こう使うと面白い」プロジェクションマッピングにほほう…と思ってたら、肝心なところでは映像じゃなくて人力で「カメラワーク」を表現しちゃうあたりに大拍手(刑務官の使い方ほんっと上手いわ)。

演出。
なんだかスゲエ(要約)。
「こんなこともできるんだなあ…」っていう発見と感動の数々。いや中には不発も改善要なのもあるけどやってみないとわからないよね!「イチかバチか」のロマンを存分に感じた。面白ーい。

キャストつらつら。

★★★ネタバレです★★★

■ジャック
落ち込んでる顔とイキってる顔だけでは本質はわからない、彼は実際どーゆー人なんだろう…というのが終盤まで明らかにならないのが面白かった(ほめ方)。
二幕あたまでルーシーに目隠しするところのオヤジっぷりに「序盤で女の子追っかけてた時と同じ顔なのどーなの」と思ってたんですが「本気にならないようにしてんだよ」ってことだったのかな。それにしたってどうも真情が見えない…とかとか、ほとんど裁判所までモヤモヤ気味だったんですが。
ルーシーにキスして「悪魔よ俺を殺せ!」って歌い上げて決める、からのジェームスが表れたとこで「やっぱりキター!!!」って超ビビる。ここでついに腑に落ちた(笑)。いいんだ、このヘタレ込みのとこがいいんだ!
「あなたに足りないのは自信だけだった」ってビルの言葉がストンと落ちた。なるほどなあ。
あとクランキー可愛い。グッズ作って。1/10スケール鳴き声つきなら絶対買う。

■ルーシー
MVP。何が素晴らしいって、スレンダー歌姫に変身しても「変な女」を維持してるあたり。見た目以外ぜんっぜん変わんないドゥフフ笑いとか最高に好き。愛と真心と根性で一直線。「待ちきれなくてワンコーラスでトンズラして来ちゃったー!」が成立するブレなさすごいわ。
細かいですがカーテンコールのフィニッシュで赤ちゃんを抱いてるのとても好き。(ジェームスがカートを持ち上げる前に目で合図すんのときめく)

■ビル
正ヒロイン(はい)。
歌が綺麗とても歌が素敵。けど最もツボなのはあのテンポというかリズム感なんですよね。会話の合いの手もツッコミも、相手や場の流れのいちばんいいところにスルッとはめ込むあのセンス。「ぼくの出番だー!」のテンドンとかもう愛おしさが爆発した。
サマンサに好きだって言われて照れながら手を出して、そのまま羽交い絞めにされてキスされる、っていう受け身ぶりも好きでした。

■サマンサ
舞台ではベス以外は観たことなかったんだけど、堪能しました綾ちゃん。さっすが滑舌自由自在。早口・声色・お手の物。声を聞いてるだけで気持ちいい…んだけど対人だとギャグが落ちないのはなんでかな(^^;)ってところも爆発力でカバーする。裁判所の終盤で開き直る歌い上げとか超、燃える。勢い。ザッツ勢い。
最初に観たとき、サマンサの元カレはテッドだったんじゃないかって思ったんですよね。「私は私だっつーの、あのいくじなし!」って言うからてっきりほら、よくあるボスに気後れして踏み出せないボディガード的な存在でベタだけど鉄板じゃね?最後はハッピーエンドいいじゃん!…てのを期待してたんで「ビルに恋してるなんてー!」でビルと一緒に「えぇぇー!!!」ってなりました(笑)。

■テッド
プロローグのピクリとも動かないストップモーションからただもんじゃねえと思ったけど、脱いだら凄かったので超納得(笑)。ルーシーを人質に取って大立ち回りするところスーパーカッコいい。筋肉は全てを解決する。
…と思ったら彼だけがアンハッピーだったので可哀想でした。
いやマジでこの話、テッドの救済シナリオだけは必要だと思うぞ(^^;)サマンサのためにあれだけがんばったんだから、彼女が「健気な恋」で許されるならテッドも助けてやれよ!まあパパが保釈金ぐらい出してくれたと思うけど!サマンサねぎらってプリーズ!ビルに夢中でそれどころじゃないか!わかる!(恋は残酷です)

■魔女
岡千絵さん、初めて拝見したんですがカッコ良かったー。しゅるっしゅる動くしおばあちゃんも可愛いし、どっちも自然で、謎の存在感が常にあるのがカッコいい。タップ勝負もカッコ良くて超嬉しい。
初顔合わせ化と思ったら「世界中がアイ・ラヴ・ユー」でご縁があったとは縁だな…もう知らない人が多いかもだけどあれでK吾さんがやってたホールデンというヘタレ男子がクリスマスパーティで悪魔のコスプレして出てくるシーンがあって、それが現在まで続く「悪魔だじょー…」の元ネタになってるっていう。すいませんトリビア。
ところでルーシーって任期どれぐらいになるんだろうか(^^;)。

■悪魔
「契約ゲロッパ」って曲名だけで勝ったも同然だった。
あらゆる意味でホームゲーム。なんなんだろうこの「ハイそういうの期待してたどうもありがとう!!!」感。「そういうの」をぜんぜん具体的にイメージしてたわけじゃないのに客席全域に炸裂する「キターーーーー!」の響き。初見も常連も巻き込んでぶん回すアドレナリン発生装置。自然に上がる拍手でさらにテンション爆上がり。
オチがわかってても一幕は本気で「悪魔」だと信じられるのなんでだろうね(笑)。パーティでのタップ勝負とか一幕ラストの「しめしめ」退場とか本気でときめいてます…あのキャラッキャラした足取りが実に人外だなあと。人外は左右に揺れるのです(定義)。
ジェームス氏もえらいキュートでした。オフ・オフ・ブロードウェイをあんなに可愛く言えるおっさんそりゃあ成功するよ(笑)。稽古場衣装のジャージも素晴らしかった。折れた剣が最後にああなったあたりも勝利感…あくまだったのに…。
ところであの契約書は1回ぐらい事故で客席まで飛んでくるんじゃないかと期待している(どうとでもするだろう)(信頼)。

■みなさん
小悪魔ギャルズすばらしい。上のほうで悪魔がしゃべってる間めっちゃ難しそうな組体操スルスル成功させてんのすごい。
刑務官の人、芸が細かいな…と思ったらジャンクションだった(笑)。ビルの証言でくるくる回るの最高におかしい…と思ったらその後さらにたたみかけてきたし、テッドとの銃の奪い合いも凄かったし。
ビルにウィンクしまくるお姉さん好き。悪魔の手紙持ってきたところでもやってほしかった(笑)。
グラサンの手下どもいい感じ。昨日のソワレ、テッドをスリッパで殴った勢いでマイク取れちゃったんだけどそれを自分で付け直す(ほかの二人も参加してわらわら直す)のとテッドが自分で動かないの感心した。

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リビルド2

再演「ライムライト」つらつら。
テーマはいろいろ。長文です。

■演出変更について
当初の印象は納得と残念の半々でした。テリーとネヴィルの印象があそこまで変わったら「構成ガー」とか分析してる暇なかったはずなんだけど、なんせK吾ウォッチャーがウェイトを置いていたところが全とっかえに近かった。「一度の失敗で笑いの女神が去っていく」でポスタントから傍観者に戻るところとか、ラストで音が完全に消えた中、ポスタントがカルヴェロにステッキを握らせてあげる→暗転、っていう流れも変わり、ネヴィルが見送る形になったとか。初演の一幕のあやふやさへのノスタルジーも相まってうーん、アレとアレがなくなったのが寂しい…が「変えちゃダメ」ではない…うーん、とやたらうなってました。正直、再演版から初演版に変わったんだったらお祭り騒ぎだったと思う(笑)。「オギーが本性出した!イエー!ついてきたいやつだけついてこうぜ!」みたいな。
その末に納得に至った理由はポスタントとしての筋の通し方。一幕の回想とニ幕の終盤で物語が明確に繋がったし、初演だと一幕ラストのカンタベリー劇場の支配人もK吾さんがやってた(「こみっくそーんぐっ」)ことによって曖昧になってた部分もなくなってクッキリした。(佐藤さんによるカルヴェロにはりつく影の名場面も生まれたし)
「この楽屋にきみがいる」ことに対するポスタントの感動が一幕と二幕で通貫したのも嬉しかった。

■ネヴィルと音楽
今回、二幕の冒頭で深まっていく「現実にネヴィルがいる」感動がすごい。一幕ではすべてがあいまいで、二幕で雰囲気が変わってクリアになる、初演では「テリーが踊り出す」ことでそれを味わってたんだけど、今回はあのテリーの「自分が描いた物語」の存在だったネヴィルが、そっくり同じ気持ちだった、あの物語はテリーだけのものじゃない、本当だった。「知ってるよ!」の喜ばしさったらない。
オーディションの時の音楽をクライマックス手前でネヴィルがちょっといじるところも好きでした。自分の存在を言葉じゃなくテリーに語りかける。奥ゆかしすぎるとこがネヴィルらしいし、それがちゃんとテリーに伝わるところのロマン。おそらく屋根裏でずっと聞いていたフレーズそのものなんだろう。
テリーがついた唯一の嘘はカルヴェロへの「ただ、彼(ネヴィル)の音楽に惹かれていただけ」なんだろうなあと。ネヴィルへの思いとカルヴェロへの愛情は彼女の中では何の矛盾もなかったけど、尽くせる相手は一人だけってなった時にはっきりカルヴェロを選ぶところはテリーの好きなところ。
とはいえ一幕の「彼の音楽に耳をすませ=自分の気持ちに耳をすませ」を思えば結局テリーの「音楽に惹かれていた」は「彼に惹かれていた」とイコールで、そのへんをカルヴェロが百も承知なところが切ないとこだなと。

■「あなたはなにも分かってない」
若くて元気で不器用で、正直で一直線。見方はいろいろだけど、テリーは誠実だと思う。
初見の感想ではテリーのネヴィルへの「あなたは何もわかってない」がめっちゃ刺さって、そこ!ネヴィルへの思いを押しやっても通したいカルヴェロへの感情!というところに感動した。公演を重ねて、どっちかというと深まりよりは「勢い」と「力強さ」が増していったのには苦笑しましたが。不器用さに拍車がかかっていく、それはそれでこの方のテリーらしい。ラフな愛でも愛なんだ。
それにしても、なんであんなに「あなたは何も分かってない」が刺さったんだろう…と考えてたんですが、公演終わってから気がついた。そうか、初演ではホントにネヴィルが何も分かってさそうに見えたからだ。流してたんだわ(ひどい)。
テリーのことをずっと見つめてきたネヴィルが、テリーのカルヴェロに対する気持ちと自分に対するそれを正確に見極めて、その上で「結婚するのは間違ってる」と言い放った、そこを正面から「あなたは何も分かってない」ってテリーは跳ね返した。今回の物語ではそういうのがテリーの、そしてネヴィルの美しさだった。

■オルソップさん。
「あの子、バレリーナだったの」っていう言い方がさすがだよね。感情の動きは確かに感じさせながら、盛り上がりすぎるでなく、もちろん冷えてもなく、ただテリーに一気に心が近づいたことがわかる。
カルヴェロの死の床の傍での空気もホント好きでなあ。ポスタントと物理的にも、感情的にもシンメトリーなんだよね。

■ボダリンクさん。
初演では名前が揺らぎまくっていたけど今回はBで始まるボダリンクさんで迷いがなくなってよかった(笑)。ポスタントとコンビっぽく動いてくれてうれしかったなあ。初演のホワイトタイガー佐藤君いじりも大好きでしたが。
初演でやってた、最後の舞台の準備での行ったり来たりが減っちゃったのがちょっと惜しい。あの「20ポンド返してもらうんだー」のるんたるんたの後でまたボダリングがギャー走ってく、っていうのがいいオチだったので(笑)。とはいえ、その後の流れはほぼこの人のタイミングが要になったなと。あの「愛している」「本当に?」のやりとりの直後に開幕を告げるところとか、終盤の「テリー、出番だ!」とか。ほんっと絶妙の呼吸。大好きでした。

■道化がえらい。
構成変更とキャスト変更でガラリと様相が変わった今作だけど、一番変わったなあと思ったのは実のところ、石丸さんのカルヴェロの印象でした。いろんな意味での「老い」っぷり。ちょっとした動作のぎこちなさとか、テリーを笑わせて喜ぶ様子とか。オルソップさんやポスタントとはテンポが合うけど、若者を前にするとちょっと気後れするような感じ。自分の芸や他人の反応に対する自信のなさ。二幕の冒頭、オーディションを終えた舞台で一人で泣き出してしまうところの痛みというか、共感というか。失礼な言い草ですが「ベテランも進化すんだなあ…」としみじみ嬉しかったです。(もちろんオペラでお顔を見ようものならツヤッツヤだけど、そこはいいだろう(笑))

また何年かしたら逢いたいなあ。たいていの舞台は「早くやんないと…!」みたいな焦りがつきものなんですが、今作はホント、何年後でも楽しみな作品になったなと。
ぜひまた。

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リビルド

「ライムライト」再演初日を観てきました。

とりいそぎつらつら。
★★★ネタバレです★★★

やっぱこれ優れた作品だなあと思いつつ、初演とのあまりの違いに頭を整理するのに今日は必死。
違いの大きな要素は一幕演出・テリー・ネヴィル。

一幕。
演出変更で分かりやすくマイルドになり(初演を形作っていた曖昧な空間ゆえの刺激やメリハリも失われ)、二幕は役者変更でインパクトが段上がりした。

テリー。初演の野々すみ花さんのテリーは天上の踊り手というか、この世の、同じ次元の生き物じゃない尊さ軽やかさがあって。本人がどんだけ真剣な気持ちでカルヴェロに「愛してる」といっても、もう絶対カルヴェロからはテリーに届かない、カルヴェロからの「違うんだよ」っていう空気に舞台も客席も共感してる、テリー本人にだけ分からないズレがあったんだけど。その絶望的な隔絶の儚さ哀しさ美しさが、カルヴェロの、崇めるようなテリーへの「届かない」感と響き合ってて、そこを愛してたんだけど。

今回のテリーはなんか人間なせいか(語彙)、「愛してる」にものすごいこう、強さと質量がありまして、重みの置き所が完全に変わった感じ。「カルヴェロに対する愛」についてのネヴィルとの言い合いがめちゃくちゃ意味のあるシーンになったことが目ウロコでした。
テリーのカルヴェロへの愛の形はテリーにしかわからない。カルヴェロの優しい拒絶もネヴィルの的を得た否定も、どっちも完全に正しい、正しいんだけど、テリーにはテリーの筋があんだよお前ら話聞けよ、と初めて思った。カルヴェロを幸せにする生き方をテリーが選んだっていいじゃない…。
前半は「はかなくないなあ」っていう印象でうーんと思ったんだけど、後半のドラマに新しい納得感をくれたことが嬉しい。ここからも楽しみにしてます。

ネヴィル。ありがとう(凝縮)。
いやーーー「軍人からのダンスの誘いは断れないんですよ」がしゃらくさく聞こえないって凄いよね。作品の見方が180度変わるよね。テリーとのやりとりのひとつひとつが細やかで、「言葉にはないけど仕草でわかる」心の流れが見て取れて、あーーーーこういうのを求めていた()。ラストの絵が「カルヴェロの傍らにネヴィル」になったことはしかし初演ウォッチャーとしては受け止め切れなくて今宵は保留。ごめん。納得はできる。
しかしこの活躍ぶりなら一幕から現実感出してもいいっていうか、回想シーン、もうちょっとしっかり描かれちゃってもいいんじゃないかと思った。

もう寝るので続きはおいおいに。

もうちょっと。

カルヴェロの老いと若さ。それぞれに磨きがかかったなと。一幕の宇宙に流れる力の長台詞(雑ですまない)がボディに来ました。ほおおお。

ポスタント。もうなんか不安になるくらい板についている(不安て)。ボダリングとのテンドン的コンビネーションはガンガン攻めていたがどんどん行ってしまうんだろうな(もっとやれ)。

じゅんさんは天才だって知ってたけど天才。毎度毎度出てきて一言でキャラ定まるもんなあ。二幕の「フットライトをつけて!」で拍手しそうになったし、ラスト手前のテリーに出番!って叫ぶ声にはボロッと泣いたし。

やっぱいい作品だなあライムライト。
初演ノスタルジーも再演リスペクトも深めて参りたい春でございます。

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うらすさび10

「戯伝写楽」雑感もうちょこっと。

■書き残しよしち(栗山編)
ふたりの与七の違い、いろいろありましたけども、お芝居の印象を変えてたなあ、と思うのが、それぞれの十郎兵衛との距離感でした。
東山君はほとんど十さんとツーカーで、特に前半はシンクロせんばかりのコンビ技が楽しいわけですが、栗山君は逆に、年も立場も離れてるから「第三者」としている、クッキリした三角の構造を楽しめた気がします。鉄蔵ともなんかこう若造同士というか、急な肩ポンなんだあれと思ってきたんですけど、栗山モードは最終的に「土手の殴り合い後」が成立してたんでここもクリアー(笑)。
千秋楽、ひさびさの栗山君で「ほぉぉ!」と思ったのが、スランプに入ったおせいを見ながらの一連。「十さんはおせいちゃんの味方になると思ってた」の言い方が素直な反発なのは前からですが、「浮雲は心中したよ」の言い方が、おせいに聞かせる意志を持って「心中したよ」って言ってる流れがとても明瞭なとこにグッと来た。そこまでけっこう子供っぽかった栗山与七が、急に大人びて見える。ほー十さんそうですか、俺は言うよ、おせいちゃんの行きたいほうに行かせるよ、っていう流れが「豹変」に見えるあたり。「なんで!行かせてやりゃいいじゃねえか!」のストレートな怒りも含めて鮮やかでした。

■書き残しよしち(東山編)
隠れ家で与七がキレるシーン。「誰ですかーハイちょっと難しいぞ十郎兵衛ー!」と教師モードのワンブレスで十さんに振る、それに十さんがボケる、さらに忘れた頃におせいがかぶせてくる、というのが一連の流れで。
一番凄かったのは東京前楽だったかの「よしち三十二さんー!」「掛けるなァ!しかも…二十八や!!!」という三段構えだったわけですが。おせいの蒸し返し「よしち二十八さん」「計算できとるけど!!」まで息をするのも辛かった(笑)。
ほかにも
「よななさん」「訓読みて!」
「なななさん」「誰や!」
「よいちさん、よにさんよさんさん」
おせいとのやりとりも
「ごちそうさま木こりさん」「名前ですらねえ!俺は家政婦でも木こりでもないわ…」
「よはちさん?よきゅうさん?…よじゅ」「8から上がっていったら永久にたどり着かへん!」
「よさくさん」の時はヘイヘイホーーーーな口笛をクリアに響かせて去ってったし。
毎回ゲラゲラ笑ってたものです。

■ぷちぷち
・「おせっかいかも知れねえが」が、転換の人に対するおせっかいとかぶっていていい感じだなあといつも想っていた。
・市さんの表情でいちばん好きだったの「光が闇をつくる」で浮雲に走り寄っていく時の表情だったんですが、角度限定と歌詞探索でほとんど見られなかったなあ。
・蔦屋の番頭さんの水撒き大好きでした。水撒いてから「水撒くよ」って言いやがる、というのがトークでネタになった次の日が千秋楽で、「もうかけてるじゃねえか」ってとうとう言われていた。
・その間タダ酒先生は下手のほうで遠巻きに見守っていた。
・鶴喜さんと富三郎丈はめっちゃ付き合いに年輪を感じるんですが、「優しいお人柄の現われでは?」「優しい、ねえ」でばしっとウィンクするとか、歌麿と浮雲がちょっと艶っぽい空気になってきたな、ってとこで富さんが手の甲で鶴さんの足のあたりをとん、とはたくとか、色っぽい、でもあっさり、っていう見え方がたいへんにツボでした。

■観察者
ニ幕の大田先生について。
公演の初期の大田南畝は、どっちかというと「飄々」に主軸があったというか、「実は」けっこう薄情、「ひょっとしたら」割と人が悪いね、ぐらいの印象でした。「さ、こっちに来い」みたいな台詞も、吉か凶かどっちに転ぶかわからんけどまあ、異世界においで、みたいなニュートラルさがあって(それでも相当アレでしたが)。
最終的には、いやこの人 怖いわ!となったと感じます。悪い、ワケじゃなくて、怖い(笑)。ただただ芸術家、あたりまえに貪欲。冷静でミもフタもなくて、怖いくらい正直で、ヒトガワルイ。なべてのものを見んとの執着。ちょっと、話が面白くなりゃあいい。
浮雲と遊ぶのも、浮雲の処刑を眺めるのも一緒。「ころりと騙されちまった」って歌いつつ、浮雲に対してぜんぜん怒ってない、まだ歌麿には自分を嘲る潔癖さがみたいなものが伺えるけどそういうのもない、ハアそんなもんだぁね、剣呑剣呑。そこには芸術家らしい、めちゃくちゃ外側からの鑑賞眼しかないっていう。
そんなスタンスの大田先生が歌麿に「どうしてもあんたにこの絵を見せたくて」とか言ってるの見ると、「うっわー楽しそう」が先に立つ。

■表現者
「あんたにも描けないかい」のくだりからの、歌麿の表情の移ろいは本当に好きでした。
あの場面の大田南畝は軽い顔でポンポン歌麿に爆弾ぶつけてく感じですが、
絵を歌麿に見せる→気を取り直す出鼻で「あんたにも描けないかい」と突き落とす→そこから「あまりに真を描かんとて」までピンと張った空気が続いていく、それが
「ってところかなー」
でやっといつもの大田先生の気楽な空気を出してくるわけで。
ここまでずっと強張った顔で大田先生を見ていた歌麿が、この、急に砕けてきた先達に、笑いを返すか返さないかぐらいに口元を歪ませて、「けんのん、けんのん…」と去っていくのを見送る。
そこからあのBGMに乗って、またこわばった表情に戻っていき、よろめくように歌い出す。
よかったなあ…。
あの歌の詞って、写楽に対する敗北感と、自分の絵描きとしての生き方の肯定と、両方を含んでると思うんですけど、その後半の「私は描く、綺麗な夢」は、肯定でいながらとてもこう、「そっちへは行けない」っていう諦観やらむなしさやら、ひょっとしたら哀しみやらあるんだろうなあ…っていう空気が好きでした。
「それでも一度、本当の写楽に」の「それでも」のニュアンスをいつも想像しながら帰ったものだ。
ついでに書いちゃいますが、ここの一連の群衆のストップモーションも本当ーーーーに見事でしたブラボー。

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うらすさび9

兵庫公演にて「戯伝写楽2018」終了。
あっという間の一ヶ月でした。本当に楽しかったし、びっくりするほど奥が深くて深くて深い、追いきれなかった細かい未練も満載の(笑)実にありがたい作品でありました。

これから観劇はしばらく空くので、つらつら語っていきたいと思います。

■場所に恵まれた話
兵庫県芸術文化センターの中ホール。何度か行っていますが、ほんっと向いてる、この作品に向いてる。
まず客席と舞台が近い。最前の真ん前が舞台で、舞台の位置が低め、かつ客席の傾斜が大きめなので、とにかく見やすい。全体に狭めでもあって、客席がストーンと縦に三ブロック、横の通路がないので、十さんもおせいも舞台の後方からまっすぐ突っ切っていく動線が楽しい。
そして音がいい、とにかく音が通る。「この劇場は音が通りやすいので、客席の音も響きます」みたいな注意が入るくらい、音がよぉぉく通る。大田先生がベターッと倒れてかはかは言ってる声とか、カテコでK吾さんがヨシ君にウォイとか掛けてる声とか超よく聞こえる。楽しい。
中でも鳥肌立ったのが初日、「おせいが狂った…」と歌い上げる十郎兵衛の歌、「もう聞くな、くだらねえ、俺はただ生きるだけ、答えのない明日へ…」でいったん、声も曲もとぎれる。この瞬間に、後方で描き続けるおせいが紙を手探るガサガサッ!!!という音が響きわたって、そこへ、
「なんのため落ちてきた!もう聞くなわかっている」っていう十郎兵衛の慟哭のような歌声が轟く。いや、ホント、忘れがたい。
そんな感じでとっても贅沢しました。東京のミュージカルではこういう劇場、使われないよなあ…言っても詮無いがホント惜しい。

■見逃してた話
一幕の「写楽話題騒然」の歌、大好きなんですが、ここは個人的にたいへん忙しいナンバーで。自担が踊り狂ってるし、与七の踊りも見てたいし。
なのでたいがい「気がつくと歌麿・鶴喜・ぐにゃ富がセンターでむすっとしてる」っていう見え方でして。地方でいろいろ俯瞰して、あまりの情報量の多さに心で謝った。
「あれをごらん!大谷鬼次の奴江戸兵衛」では「へぇぇ」って感じで喜んでた富三郎さんが、自分の絵が出た瞬間ギャーッ!ってなってみんなにからかわれて後ろの大きな絵を必死で隠そうとしてたり、鶴屋さんはその富三郎丈と前半から噂話してて後半ではみんなと笑ってるんで富さんにくってかかられてたり。そしてほぼ曲の終盤で登場する歌麿は、ふと通りかかって絵を渡されて、ん?と見やって「!!!」となる。からの、憮然とした(いったん落ち着いた)表情だったんだなあ、という。
特に最後の「歌麿の衝撃」はあの賑やかなナンバーに混ざっちゃってるのはちょっと惜しかったかもな、と思います。絵を両手で持って目を見開いて、そのまま前へダダダっと走るようにのめりこむ。二幕の、浮雲の絵を見たときに、ダイレクトに重なってく絵なので。
や、見てる人はちゃんと見てたと思いますけど!しょうがないじゃんせっかくヨシ君と共演してんのに一緒のダンスナンバーなんてここだけなんだよーっ(ファン事情)。

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うらすさび8

「戯伝写楽」久留米こまごま。

■十返舎一九まだまだ若い
「あれをごらん・栗山与七・お江戸一番のイケメンさー
 こっちも来た・東山与七・これも一番と評判さー」
てな語呂合わせを考え続けたが字余りを抜けられない。
そんなわけで2週間ぶりに観た栗山与七、めっちゃ良かった。めっっっっちゃ良かった(二回言う)。
いや私、うっすいなりに東山ウォッチャーでもありますが、与七はホントダブルキャストだったことでお芝居全体が面白くなったなと思う。
それぞれの与七の味や十さんとの関係の見え方については前に書きましたけども、ひさびさに観るとあの、まっすぐさのインパクト凄い。
しょっぱなの言い合いでの十さんの「この青二才!」の一言がスパッと決まった。青二才。そうまだ世に出てない青二才。

■アフタートーク
組み合わせがピーキーだったと思う(総括)。面白かったけど!
・東山君(MC/東京との違いを意識して真面目にやっている)
・小西君(上手から吉野・さとしさん・しょこたんという濃さを意識して備えている)
・しょこたん(しょこたんオーラ)
・さとしさん(座長オーラ)
・吉野さん(東山見守りモード)(かの人の「見守る」顔は大層怖いです)
いや、ファンは最高に面白いけど、初見率高い公演であのタイトロープは何事かと思われたんじゃないかな(^^;)。
あんまりにも男子全員がMCに対して塩だから、しまいにかわいそうになったらしい小西君がヨシ君にフォローしようとして「写楽が大好きだよね」と振ったのは好感度高かった。いっぽう歌麿の台詞噛んじゃった話がひとくさりネタになっていたのはかわいそうだった…。が、当初「すいませんでした」と本気の反省モードだった小西君が最終的に「すいませんでしたァ!」とガチモード(ネタ)になったので、全体として男性陣の作戦だったのかも知れない(世界一周するぐらい遠回りのフォロー)。
そんな中しょこたんの聖子様コールがトーク全体を綺麗にコーティングしてました。(しめくくりはさとしさん熱唱のホールドミー)

■いろいろあった
久留米二日目、「八立か!おもしろいモン持ってるな」からの一連。おせいちゃんが紙と八立を取り出して十さんの顔を描く…という場面。
まあ、事象をありていに言うと、八立と紙がない(^^;)。
1)パントマイムで行く判断→手早く絵を描く仕草をして、十さんに「これ」と見せるおせいちゃん。
2)それを受け取らざるを得ない十さん(カテコにて「さっさと渡すから!その後ぜんぶマイムですよ!!」)
3)「すげえ!大胆な絵や!」からエア絵を受け取って空に掲げたりして喜ぶ栗山与七(まぶしい)
初見なら多少クエスチョンありつつ「こういうシーンなのかなー」で成立してたと思う。

■いろいろあった2
浮雲の心中のことを聞いておせい飛び出す、十さん追う、与七が一人ごちる、その後ろでセットが転換して磔台が現れる、というタイミング。
その前の場面でおせいがぐちゃぐちゃにした紙が一枚、床に落ちてまして。それ自体はよくあることなんだけど、転換のついでにそれを片づけようとしてちょっとセットが引っかかったりしたらしく、かなり時間がかかってて。そのせいかは分からないんだけど、
浮雲さんが自ら命を絶つ場面で、匕首かかんざしかわからないんだけど刃物を髪から出すところ、手前の死角になってるところからザッ!と取り出して刺す動きでした。たぶんセットのトラブルから段取り変わったんだろうなと。結果、とっさの動きがまたすごくドキッとする流れになってて、絵的にかなり見事だった。びっくりした。

■いろいろあった3
東京初日以来のハプニング(たぶん)、見事にすっ飛んだラストシーンの飛び出しナイフ(笑)。いや、よく飛んだ…。客席に落ちたわりに十さん、すぐに手に持ってたとこみると最前列の人が渡してくれたんだろうな。カテコでも繰り返し前列の人に頭を下げていた(笑)。「バネが元気だった」とおっしゃってましたが、二階席ひとりじめしていた東山君、トークショーの時に東京初日のことを聞いて大笑いしてたけど、今回観れてたかなあ。

■千秋楽カーテンコール
つぶやきで書いちゃいましたが、けっこう楽しかった前の日のトークイベントが吹っ飛ぶ勢いの濃さだった…威力あったなあいろいろ。

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うらすさび7

「戯伝写楽」いろいろ。

■1/26アフトクぷちぷち
「ま、お酒の入らない飲み会みたいな感じでー、気楽にー」というMC東山君の前フリに違わず(笑)実にたらったらしたリズム&絵面で、でもすごーく内容がちゃんとしているという奇跡のようなアフタートーク。
・「なんか面白いことありましたか。僕のいない間に」というフリに答えてさとしさん、初日のラストシーンで飛び出し小刀が吹っ飛んだ話。「狂言ばかりがうまくなるぜ」って言いながらぴょーんと跳ねさせた小刀が、そのまんま客席へ…っていう再現に大受け。
・舞台稽古で十郎兵衛が浮雲を「脱がせすぎた」話。「とっさに僕がブラジャーになって隠しました」
・壮さんと東山君の気安い絡み…か?いやむしろバトル…か?なやりとりがバシバシ飛び交う。花魁の舌打ちが聞けるアフトクも珍しい(笑)。
・孔雀の打ち掛けを「ホラ着せてあげる」と与七の背中にかけてあげる花魁。そのまま背中の模様を見せてまっすぐ立ち、顔だけこっちに向けかっこいいポーズをとる与七。
・しょこたんがラストの挨拶で話す間、そのまま立ってる与七。…絵的に、ものすごい邪魔(笑)。
・小西君、ラスト挨拶で客席へ「ヨシ君、この人、ときどき英語しゃべりますから気をつけててください。バイバイとか言いますから」撃沈東山。
さすがの楽しさでした。久留米初日もアフタートークありですが、メンツ的にまたMCヨシ君だよね…(戦慄)(爆弾がいる)

■似顔絵の話
ラストシーン、十郎兵衛がおせいの描いた自分の似顔絵を破こうとして思いとどまる、というところ。
アフタートークでさとしさんが言ってたのですが、初演ではあの絵はバラバラに引き裂いてパーッと撒いて退場していたと(そういえばそうだった)。でも、今回はなぜか、その破くという行為ができなくなった。しょこたんのおせいを見ていて…というところもあるし、自分がこの8年で変わったのかも知れないし、なんか破けない、と。
 し「じゃあお芝居によっては破くかも知れないってことですか」
 さ「ああもうビリッビリに破くかも知れない」
なんて軽口も交わされており、そこは「へぇぇー」で終わったんだけど。
後からジワジワ来たのが、あの十郎兵衛の似顔絵って、作中で浮雲の死の後におせいが描いた唯一の絵なんだよなあと。
「光だけ見ていた」おせいは、浮雲との邂逅で「闇」「いつわり」といった、濁の世界に踏み込んだ。そのまま浮雲の死に触れ、取り付かれ、十郎兵衛の小刀を浴びたことで、そこから戻ってきた。
あの「いい男」の絵は、それまで世に出た写楽の絵や、浮雲もの死の絵も越えた、光も闇も、ぜんぶの要素を写すことができるようになった、写楽を超えたおせいの絵なんだろうなと。十さんの「面白い」ところをついに描ききることができた、結果、おせいにしか見えない「いい男」の全容が絵に現れてたってことなのかなーと。
…例によって、文にすると今更感が凄いですが。
十郎兵衛を描ききって、おせいは去っていく。
その絵を捨てられなまま、十さんは歩いていく。
いい、ラストじゃねえか…。

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うらすさび6

「戯伝写楽」あっという間に東京千秋楽。
書き溜め雑感コツコツ行きます。

■東山与七こまごま
・おせいと出会うシーンで、彼女と十郎兵衛を見比べる視線がとても好き。ここは栗山君の場合、ヒントを見つけて「これは…」って徐々にわくわくし出すイメージだけど、ヨシ君の場合文筆業でそこそこキャリアがある感じなので、「お」って思ったタイミング、すちゃっと物書きの目に切り替わる、ああ普段からこのスイッチのオンオフしてんだな、って感じ。
・おさんどん姿を初めて見たとき、なんだろう、なんか既視感がある…あの形、頭が伸びたような形と前屈みの姿勢、全体にグレーな感じ…ああ五十音順のぬらりひょんだと気づいた時は心の中で懺悔した。
・のに、これが一幕ラストには背をビシっと伸ばして着物姿もスラッとして髪も表情もシュッ!!としたキラッキラの若衆になってて「何?いつの間に変身した?奇跡???」ってなった初見の時。「俺は一九や」で頭の手ぬぐいとって、歌が始まるところでタスキをとってたんだと今では分かってますが、あまりに自然さシームレスさに感動したでござる。

■膝栗毛って徒歩っていう意味なんですってね。
中島脚本だからここは凄かろう、というのは期待としてあったんだけど、一人一人の「この先」を予感させる台詞の数々はやっぱ痺れますね。
鉄蔵の「赤富士」はくっきり表現されてるけど、与七の「東海道五十三次、宿の数だけ商売がある。覚えときます」は弥次さん喜多さんにつながってくんだろうし、大田南畝の「あまりに真を…」は後に「浮世絵類考」として編纂されていく元の言葉なんだそうだし。
冒頭に出てくる「難波屋おきた」と「高島おひさ」はその後も何度も歌麿のモデルになってるみたいですね。

■手妻あり
本来あの飛び出しナイフの仕掛けってどっちかというとわかりやすい伏線だと思うんだけど、ラストの種明かしでホッとした笑いが起きるのはなかなかに凄いと思う。鉄蔵の緊張に、そしておせいの迫力に引きずられて、すっかり引き込まれて「どうするのこれ!」ってなったところへ、十郎兵衛の選択やおせいの結末に納得感が生まれる。だからこその「あああ、あんなに分かりやすい伏線だったのに、気づかなかった…!!」なんだろうなーと。「確かに斬ったよ」ってそう簡単に成立する台詞じゃないよなあ。
ところでこの仕掛け、「飛び出す匕首とか血糊とか仕込むお能って剣呑だな」と思ってましたが「芝居小屋で借りてきた」っていうのは別にお能とは関係なくってことかな。きっとそうだな(^^;)

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