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新生男子部2018空

「宝塚BOYS」2018年、チーム「SKY」を観てきました。

SEAとはまた違う雰囲気だろうな、と思って臨みましたがマジ全っっっっ然違ってた。
キャストは若い人が多くて、経験者5人(ただし配役的な続投は星野のみ)だったSKYと違って全員、初登場。
演出も結構違う。もとから「宝塚BOYS」はでる人の組み合わせでドラマが変わる面が大きいですが、今回は7人の空気みたいなのがSKYとSEAで全然違ってた気がする。

■上原金蔵(永田崇人)
テンパってテンパって、泣きすぎると笑っちゃう。笑いすぎて泣いちゃう。笑いと涙は表裏一体。ただ懸命に生きているのです。そういう上原にとことん感情移入できた。
プロローグからラスト「戦友の墓前に胸を張って報告したいと思います」まで、上原の原体験と筋がしっかり通ってて涙した。怖くて怖くてうずくまる、でも戦友が発進するところで飛び起きる、っていう動線とか。山田が特攻隊だと聞いてちょっとハッとしている空気とか。「特攻隊ですか」が話のキッカケというより、上原だから自然に出た台詞なんだなって思ったの初めてですよ…。
リーダーとしての無力感は全編、骨まで染みとおってるのがわかるから、「もう大将と呼ばないでください」がむちゃくちゃ刺さるし、自分のハガキから全てを始めてしまった、そういう責任をもずっと引きずってるから、池田さんの「この俺だ」が効くっていう…いや、こういう脚本だったんじゃん…という衝撃。
全体「上原!」「あぁそれ、上原!」と心で叫びまくりました。
とか悲壮な話ばっか書いたけど、弱い上原としてのチャームも全開で楽しかったです。印象に残ってるのが「1時半です」のくだり。星野がいい加減に寝たらどうだって怒鳴られてぴゃーっと逃げるけど、仕切ののれんのむこうまで待避して、のれん被って「好きにやらせてください!」…ってその手があったか!のれんが!(開眼)

■竹内重雄(溝口琢矢)
歌が好き!綺麗なものは綺麗なんだ!あと歌が好き!
イエーイ竹内だ(笑)。より正確な印象としては竹内リリィというか(何を言っているんだ)、少年のまま兵隊になって、現実の中で理想を通すことで正気を保ってきた、ポテンシャルは随一だけど天然かつ謙虚、そして正直。
「歌いましょう!」がほぼネタ台詞化するほど定着していたのは嬉しかった。フられた長谷川がえんえん泣いている、そのままシーン転換…っていう際に「歌いましょう!」が聞こえてきたのには爆笑したし、スパニッシュでも「歌いましょう!」が入ってたのにも頷いたし。もちろんそれは突っ伏した竹内の「春すみれ咲き…」で昇華するわけで。(あそこで決壊する池田さんってのも凄い、忘れられない絵です)
弱点はあれだな、可愛すぎて「マリーが成立してしまう」っていう(笑)いや、初代もそういうとこあったけどなんせ体格が立派だったからハセが笑い出す流れにいけたんだけど、溝口君ふつうに似合ってるから「なんかへんですよ」の台詞が微妙に。
マリーと言えば以前あった「竹内さんてもしかしてそっちの世界の人?」がカットされたことはわりと自然に感じました。ああ私達も変わってるんだなと思った。

■長谷川好弥(富田健太郎)
馬の足のくだり、さらに長くなったなあ(笑)初日に健人君Verで見たとき(後ろのお姫様を)「見なくていい!!」が面白すぎてこれ畳みかければいいのにと思ってたんだけど、それもこれも詰め込んでめっちゃ長くなってた、馬…お疲れさま。ちなみにこれで「馬に乗ったハセ」は自由君ただ一人ということになった。
「芝居がしたい」ハセの素直さと、なんだかんだ男子部のムードメーカーである居方がよかったです。
太田川のこと「おーちゃん」って呼ぶのは衝撃だった…そうか、太田川と同年代のハセ…これ無限の可能性じゃないですか(立ち上がるリピーター根性)(遅すぎる)。

■山田浩二(山口大地)
山田は可愛い(もういい)。可愛いし、やさしい男なんだよ…。
テンポがゆっくりというか丁寧なお芝居するので、ああこいつ繊細なんだな、というのが全面に出てる山田で、なるほどなあと思いました。つくづく星野の形態模写可愛い。部屋の扉をバァンと叩かれた後そっと閉めるのも可愛い。 タケちゃん気遣うのも太田川気遣うのも可愛い(「近頃稽古も休みがちだしな」とか「あいつ銭湯には一人で言ってた」とか新旧問わず「えっ何おまえ細やか」ってなるんだけど、それがしっくり来る)
マルコと少年の別れを寮で練習する場面は、再演を重ねるごとにディテールが細かくなってきた敷居の高い(であろう)シーンですが、いや最高だった(笑)排気音といい去っていく電車といい、お見事でした!
芸名「未来かわる」は忘れられない(その手があったか)

■竹田幹夫(川原一馬)
若さ、おとなしさ、爆発力。主張はしないけど漂う余裕。
すごく良かったです竹田。あんな「運がいいとか悪いとか」の響きは初めてでした。叫ぶ言い方をしたところも、普段おちついてる竹田、一人で泣いていた竹田だったから凄い刺さったし。
男子部解散を聞いてる間、ずっとほぼ無表情でたたずんでたのに「ぼくらは宝塚歌劇に」っていう長谷川の叫びに食い気味に「そうです!」って叫ぶところも。
呼び方は「タケちゃん」「コウちゃん」で着地。こっちも山田とほぼ同年代っぽかった。
なお「女性だけで100年順調に行ったりして」に「100年」が入ったのは100周年をすぎてからの脚本改変だったと記憶している(豆)。

■太田川剛(塩田康平)
今回いちばんのインパクトは終盤で襲ってきた。若い太田川。
戦争の話題になると居づらそうにする、というのは太田川のデフォですが、こんなに素直に「あ、イヤなんだな」っていう表現がでる、はっきり言うと子供っぽいとこに「おぉぉ?」と驚かされ。なるほど、そうかと。太田川って世間ずれアピールしてるけど(今は竹内メトロノームに気をとられて客席がそこに気づかないっていう罠があるんだが(笑))実際は弱みありまくりで、ハキハキしてるけど実は病弱、強がりばっかりで人に頼るのもヘタ、というキャラなわけで。
本当は引け目の固まりでナイーブナイーバーナイーベスト。浪速のさびしんぼうとはよく言った。
なので、終盤の稽古場での場面が胸にザクザク来ました。「何のお役にも立てずに死んでいくんか!」でこんなに泣いたことはない。

■星野丈治(中塚皓平)
「なんで西郷どんが宝塚に」と思ってたし幕間に「あ、皓平君か、道理で腕キレイだわ」とかやっと認識したし、それでもぶっちゃけボレロのセンターに至っても「綺麗だぁ吉之助さぁ」とか思ってた場違いな客でしたすいません。こんな私ですが叫ぶ。「星野よかったよ!」とさけぶ。
前の人たちいずれともキャラは違うんだけど、あえていえば初演の人に近いなあと思ってたりする。異論は認める。
星野って「俺はプロだ」って念じてる人だと思うんですよね。実際プロだけど、「お前らとは違う」って、思い上がる意味でも責任感を持つ意味でも思ってて、ゆえに自分から一線を画してる。そういうとこがガンガン見えるのが嬉しかったです。(ちなみに後半で「実はこいつこそ若造」感がガンガン出てくるのが初代、大人力を増してくのが皓平星野)
「この世界は残酷だよ」っていうくだりのギラギラもすごくよかった。「出演おめでとう」って上原、長谷川にそれぞれ目を合わせて言う、そして上原の肩に手をかけて、もう片方の手で竹内・山田・太田川、もう一回竹内(!)を指さして「…気をつけろよ」
最高だね(笑)。ここまでやっちゃうから、たぶん詫びのニュアンスも込めて竹内に酒を勧めて「足の引っ張り合いは当たり前!」に繋がっていくんだろうなと。
つくづく惜しいよなあニ幕の竹内の「星野さん、男子部をやめないで下さい」のカット。
竹田への優しさも初演以来だったなあ。「帰ってくるって!」って星野が言うのいつからだマジびっくりした。

一幕を観終えて愕然としたのが、あ、この感覚は初演の感覚に近いんだなという気付きでした。今回のSKYチームに共通してるのが「青さ」「余裕のなさ」「せっぱ詰まった感」「シャレのきかなさ」「こなれなさ」というのか(笑)…これがねえ、なぜか胸を鷲掴んできまして。
「新鮮さ」が全面じゃないんだ。フレッシュだから嬉しいんじゃない、ただ単に「宝塚男子部が懸命に生きていた」っていう空気にあの7人がストレートにはまった、そういうことだったんじゃないかと。
この人たちは、戦後の青年たちなんだというところ。
それぞれ傷つきまくって経験も重ねすぎてるけど、年齢的にはむしろ幼い、ナイーブな若者達だったんだんだというところ。
「僕らには、夢と希望と憧れと、大きな不安がありました」
「ただ、懸命に生きていたのです」
この辺の切なさ、ほとばしる実感は初演以上だったかもしれない。
そんな感動でいっぱいになった"SKY"でした。ありがとう。ありがとう。

(まあ「若かった僕らも少しずつ年をとり」に説得力がビタイチ出なかったという弱点があったことは認める)(蛇足)

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