« 2018年4月 | トップページ | 2018年6月 »

2018年5月の3件の記事

新生

2018年、新演出版「モーツァルト!」、古川ヴォルフガングの回を観てきました。

★★★新演出ネタバレです★★★

新演出おもしろかった。雄大ヴォルフはさらに面白かった。
過去に置いてきたさまざまなシーンやキャストの記憶や名残は消えませんが、新しい「モーツァルト!」が生まれてこれから続いてくことがとても嬉しい。そんな風に感じられたMy初日でありました。

■古川ヴォルフ
ザルツ時代は明るく脳天気、マンハイムでは隙だらけ、ウィーンでは傍若無人、それって。
どう見てもネイティブヴォルフガング(ごしごしごし)
いや、びっくりした…アッキーがヴォルフだったのと全然違う、違うのに、びっくりするほどアマデウスだった…素直で、普通の子供で、悪気がなくてやんちゃで、音楽以外なーーーーんにもできず、生活力ゼロ。控えめに言ってろくでなし、なのに人を引きつける、かつ無自覚。
アマデとは最初から最後まで一心同体。支配力を持たれることはあるけど、主導権を取り戻そうっていう発想がヴォルフ側にない。だって自分なんだもん。
一幕を通じて若くて愚かな音楽バカで、それはウィーンに行っても変わらない。でもだんだん大人になってはいっていて、パパの死後についに覚醒の瞬間がやってくる。「星から降る金」リプライズ、ピアノの上に横たわって男爵夫人の声を聴いている。今期の「モーツァルト!」はこの絵がクライマックスだな、と思います。初めて観たよそんなの。
いや、歌の構成はそうなってんけどさあ!「もう守ってはもらえないだろう」とか「大人になった男は」とか、言葉の上ではヴォルフはあのあたりまで子供なんだけれども!ホントにやる人はいままでいなかったんだよ(笑)。井上ヴォルフは期によるけど下手すると「赤いコート」の時点で大人だったし、中川ヴォルフは大人とか子供とか関係ないヴォルフというイキモノだったし。山崎ヴォルフも芳雄君とは違う意味で大人だった。今期どうなってるんだろう。
かくして多くのオペラと「魔笛」を作り上げ、命数を使い果たして、みんなの熱狂に食い尽くされて終わっていく。あんな自然な「お前も死ぬ」もアリなんだ…。
開眼しまくりました。きっと見逃してることも、ここからの可能性もいっぱいあるだろうな…がんばれよ…。

■「破滅への道」
新曲。むかーしハンガリーで観たときは本気でスゴイと思った曲だし、日本語訳もカッコよくてメロディもメリハリあって凄い。
ただ、今日見た限りではこの曲の立ち位置はピンと来なかったです。韓国で聞いたとき、あまりのカッコよさとあまりの唐突感に「ファンサだな!以上!!」って思っちゃったんだけど、コロレドとヴォルフガングの関係の取り方によっては最高にドラマチックになれる曲ではあると思う(訳:初見で聴いたら違っただろうなー)
ただ、あそこで「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」が「貴族社会を否定するオペラ」として挙げられて、急に音楽の立ち位置が単純化したというか、お話の中で「魔笛」とほぼ同じ位置になった印象を受けたのはちょっと残念でした。史実はともかく「モーツァルト!」という物語では「魔笛」は特別だったからなあ。

■ナンバーズこまごま
特に一幕は順番が変わったり、曲が短くなったりが多し。
順番変わったのはGJだと思います。これ初めて韓国で観たときブラボー!と思ったんだけど、

  市場→心を鉄に閉じこめて→ウェーバー一家→パパのお祈りソング→コンサート(母の死)

これが

  市場→ウェーバー一家→心を鉄に閉じこめて→コンサート(母の死)

これで、お話の流れも尺も大層すっきりしたなと。ただ市場のラストの「姉さんは信じてるわ」が妙に昭和だけれども(^^;)。
曲のカットは多し。旧作オタクが慌てるレベルでザクザク切られてる。
以下、供養リスト。
・ギリシャの胡椒オリーブブルーベリー(このへんなくなっていきなり「おやナンネール」になったので、八百屋以外誰が何屋だか全くわからなくなった)
・天なる父よ哀れな息子を(全カット)
・「並の男じゃない」の二番(二番て)
・「ここはウィーン」はいろいろカットしてほぼ半分になった。ソロパートはほとんどなくなったかな。ほぼ一瞬で終わるし退場も早いし、衣装の色変わりが少ないのでツィンツェンドルフが一番目立つという(^^;)。「サリエリだ!」は残して欲しかったなー。
・「友だち甲斐」も半分かなあ。ザルツの姉さんが~の歌とかなし。お金を得たらとっとと出かける(実も蓋も)。
・ゾンネンフェルスは役ごと消滅。「帰れまともなヤツは…」のくだりがなくてシカネーダーがふつうにヴォルフに声かけるので、尺は短くなったのに二人のやりとりには余裕があるという(笑)。
・ちょっぴりリプライズもなくなった。今回のバランスだとそれもそうかな、という感じ。
・アトリエ。「私ひとりをパリに出して」ぜんぶ台詞に移行。これはこれで怖い(笑)。
けっこう変わってるな!

つづきます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

1789らんだむとーく2018-4

モーツァルトが気になって仕方がないので1789ネタを拾う(スポーツで発散する的な)

■教育実習
冒頭「ヘイ・ハー」のデムーランとロベスピエール、公演が進んでも「堅さ」が全く取れないのが好感度高いです(初々しいと言え)。初日にあの「カミーユ・デムーランをしょう・かい・しま・しょう」を聞いたときの微笑み、とうとう東京楽まで続いたもんなあ(にやにや)。マジメーな顔で手を挙げては下ろすカミーユ君の謎動作も大好きだ。
そんな「理論は完璧だけど実地はこれから」な二人が初めて本物の民衆に出会う、それって彼らにとっては本当に重要な出来事だろうなあと。今まで「民衆」を語ってきただろう彼ら、「農民」や「貧しい人」にあれをしてやろう、こういう風に導こう、幸せにしよう!と思ってきた彼ら、その革命家たちが初めて出会った「(話が通じる)本当のお百姓」がロナンだったんだろうなと。
印刷所でロナンにひたむきに語りかける二人は本当にキラキラしてる。
「考え方だよ。人がどんな風に生きるべきか」
「それならあんたたち学問のある兄さんより、俺の方が知ってるかもしれないぜ」
百姓だけど勉強してて、学問のある彼らにも物怖じせず、自分の考えをぶつけてくれ、言葉に耳を傾け、心を動かしてくれ、同じ貧しい人を集めて動かしてくれる。そんな人間に出会えたことは本当に運のいいことで、たぶん史実ではあり得ない素敵なことなわけで。「(身分も境遇も違うもの同士が肩を組み歩く)それこそが我らの革命」っていう、この作品で一番美しいフレーズに繋がっていくんだなあ。

■せっかくのチャンスだったのに
考えてみるとアルトワって本当の意味でラスボスというか、「1789」で描かれる貴族の中でもっとも倒さなきゃならなかった革命の敵なんですよね。一幕ラスト、「球戯場へ行くぞ!」って民衆が賭けだしていく、それを見下ろすアンシャン・レジームの怪物の姿。あれがまさに本性だなと。「革命が始まる」で描いた筋書き通り、彼は国外に逃げ、人々が「革命」の闇に疲れた頃に帰ってきていずれは王位につくわけで。いうなればヤツだけが賭けに勝っちゃう。
そんな真の敵、本当の災いと、実は直接対決していた平民が一人いたんだよ、…っていう風にあの「私が神だ」を取ると、なんか「えーないわ、王弟と主人公の立ち回りとかご都合主義きわまるわ絵空事よ」と思っていた(思ってました)「1789」の筋書きもけっこう、取り方によっちゃ深いなと。
ロナンが死んでしまったことは本当に、フランスにとって大変な損失だったのかも知れない。慟哭するロベスピエール、どこかが壊れてしまったロベスピエールは恐怖政治に進んでいく、彼の誤りを止めてくれたかもしれないロナン・マズリエ、アルトワが戻ってきたとしても「相手にとって不足はねえぜ」と全部飛び越えてぶっ飛ばしてくれたかも知れないロナン・マズリエはバスティーユで終わってしまった。そういう、歴史に続く話だと思ってみても「1789」って面白い、本当に面白くて、悲しい物語なんだなと思います。

こんなに好きになると思わなかったな…。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

1789らんだむとーく2018-3

「1789」東京公演が終わっちゃいました。
公演の感想は最近はTwitterが多いんですが、どーしても長くなるところは今後もブログで行きたいと思います。
(訳:あまり楽と関係ない話をします)

■パン屋襲撃について
「1789」を見渡して最強キャラを挙げろと言われたらソレーヌではあるんだけど、その強さは「弱いのに強くならざるを得なかった」強さでもあるんだよなあと。
前半のおどおどした感じ、どこか気後れしたような態度。「リュシルとわたし、友達になったの」の言い方が以前から大好きなんですけど、もともとソレーヌって細やかで引っ込み思案で、だから周りの女達や子供達の苦しみが肌で分かったし心を通じ合えたんじゃないかなと。最弱の人々がギリギリで苦しんでる、もうダメだ今日、いま行動を起こさなきゃ子供が死ぬ!なのにまあ悠長だなオイ代議士!ジャーナリスト!!!…っていうのがあのパン屋襲撃の原動力だと思ってて。
うまく言えないんだけど、あのシーンを「女のほうが優れているという主張」と取りたくはないんだよなあ…歌詞で「バカな男」つってるけど、本題は
「飢えと貧しさ、寒さに震え、生きている、絶望して(いるけど)」
「怖いモノなど何一つない(って本当は嘘でむちゃくちゃ怖いけど)」
「(男の救いを待たずに自ら戦うしかない)」
なんじゃないかと。
ソレーヌ達は軽率なんじゃなくて、単に行動が早かった(現実を知ってるから)、そして相手が平民のパン屋だった。それを正すなら「やめるんだ」じゃなくて「相手が違う」であり、「ちょっとだけ待て、交渉するからもうちょっとだけ待ってくれ」って頭下げるのが筋だと思うんだよ(苦笑)。パン屋くんと握手するソレーヌの辛そうな顔がホントしんどい。そらパン屋くんは悪くない、でも(ソレーヌにとって身内同然の)あの子もあの子も今夜の食事がないんだよ…そういう悔しさには出口がないんだし。
かくして実際「ベルサイユへ行って新たに交渉を」しに行った男性陣はわりと直後に帰ってきて
「ネッケルが罷免された!武器を取れ!」ってサワヤカな顔で宣言する。おい。
この場にソレーヌいなくてよかったな男子(微笑)。

■彼女を追う
その後もロベスピエールの恋人ばっか探してたので覚書。以下「彼女」は固有名詞です(笑)。
・一幕ラストで踊ってる後ろにデムーラン達が現れて、ロナンが出て行くのと入れ替わりに前に出てくる、ここでロベスピエールと目を合わせて頷きあってる。
・の後、ペイロール達に抵抗してワーッてなってるところで、転んで倒れ伏してしまう。そこへロベピが駆け寄ってきて助け起こし、そのまま「よし球戯場へ行こう!」
・二幕冒頭。ネットを外してる前で手をとって頷きあってる。
・ロベスピエールが語り出すところではすぐ後ろでガン見している。「権力と戦うぞ!」からイントロに入るところの彼女とロベピの息の合い方めちゃカッコいいぞ(下手推奨)。
・曲のフィニッシュ・銃声、国王登場…というところで中央のロベスピエールは正面向きながら右手を後ろに、彼女はその手を繋ぎながらもう一方の手も添えてる。(形は違えど初日からやってたよねこれ…無限にときめいたよホント…)
・「銃剣を突きつけられるまで退かない!」ガーン!というところでロベスピエールが思いっきり彼女を庇う。
・ロナンがきて兵隊たちが退却、「俺たちは兄弟だー」の暗転の中で喜び合って抱き合ってる(このカップル基本的に張りつめてるので、笑顔があるのってここぐらいなんだな…)
・パン屋襲撃ではロベスピエールが乗り込んで来たとこで一度、あの目で見られて辛そうに顔をそむける。ここは違う人なのかと思ってたけど、やっぱり同じ彼女みたいですね。
・緑の葉をとってあげて渡す。
・ペイロール達が襲ってきたところは盛りだくさん。ロベスピエールの後ろに庇われる間ずっと手を添えてたり、逆に助けようとしたり、他の女の子を助けたり。ペイロールの前にロベスピエールが!というところでは悲鳴を上げて(名前を呼んで?)駆け寄るんだけどダントンが止めて、そのあと自分で助けに行く。きゃー。
・サイラモナムール。ここは以前しつこく書いた。
・別れ。最後の最後に銃を渡しに来るけど、眼に万感込めてるけどサッと銃を渡してパッと離れていく。もう戦闘モードに切り替わってる筈のロベスピエール、ここで最後にほんの軽く彼女を追うように右手を上げる、ホントに一瞬。
…こうやって並べてみるとホントずっといる、役名ないのが不思議なくらいだな。
まあ名前もわからない、ひとりの恋人、っていうほうがロマンだし好みですけれども。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

« 2018年4月 | トップページ | 2018年6月 »