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2018年2月の3件の記事

うらすさび9

兵庫公演にて「戯伝写楽2018」終了。
あっという間の一ヶ月でした。本当に楽しかったし、びっくりするほど奥が深くて深くて深い、追いきれなかった細かい未練も満載の(笑)実にありがたい作品でありました。

これから観劇はしばらく空くので、つらつら語っていきたいと思います。

■場所に恵まれた話
兵庫県芸術文化センターの中ホール。何度か行っていますが、ほんっと向いてる、この作品に向いてる。
まず客席と舞台が近い。最前の真ん前が舞台で、舞台の位置が低め、かつ客席の傾斜が大きめなので、とにかく見やすい。全体に狭めでもあって、客席がストーンと縦に三ブロック、横の通路がないので、十さんもおせいも舞台の後方からまっすぐ突っ切っていく動線が楽しい。
そして音がいい、とにかく音が通る。「この劇場は音が通りやすいので、客席の音も響きます」みたいな注意が入るくらい、音がよぉぉく通る。大田先生がベターッと倒れてかはかは言ってる声とか、カテコでK吾さんがヨシ君にウォイとか掛けてる声とか超よく聞こえる。楽しい。
中でも鳥肌立ったのが初日、「おせいが狂った…」と歌い上げる十郎兵衛の歌、「もう聞くな、くだらねえ、俺はただ生きるだけ、答えのない明日へ…」でいったん、声も曲もとぎれる。この瞬間に、後方で描き続けるおせいが紙を手探るガサガサッ!!!という音が響きわたって、そこへ、
「なんのため落ちてきた!もう聞くなわかっている」っていう十郎兵衛の慟哭のような歌声が轟く。いや、ホント、忘れがたい。
そんな感じでとっても贅沢しました。東京のミュージカルではこういう劇場、使われないよなあ…言っても詮無いがホント惜しい。

■見逃してた話
一幕の「写楽話題騒然」の歌、大好きなんですが、ここは個人的にたいへん忙しいナンバーで。自担が踊り狂ってるし、与七の踊りも見てたいし。
なのでたいがい「気がつくと歌麿・鶴喜・ぐにゃ富がセンターでむすっとしてる」っていう見え方でして。地方でいろいろ俯瞰して、あまりの情報量の多さに心で謝った。
「あれをごらん!大谷鬼次の奴江戸兵衛」では「へぇぇ」って感じで喜んでた富三郎さんが、自分の絵が出た瞬間ギャーッ!ってなってみんなにからかわれて後ろの大きな絵を必死で隠そうとしてたり、鶴屋さんはその富三郎丈と前半から噂話してて後半ではみんなと笑ってるんで富さんにくってかかられてたり。そしてほぼ曲の終盤で登場する歌麿は、ふと通りかかって絵を渡されて、ん?と見やって「!!!」となる。からの、憮然とした(いったん落ち着いた)表情だったんだなあ、という。
特に最後の「歌麿の衝撃」はあの賑やかなナンバーに混ざっちゃってるのはちょっと惜しかったかもな、と思います。絵を両手で持って目を見開いて、そのまま前へダダダっと走るようにのめりこむ。二幕の、浮雲の絵を見たときに、ダイレクトに重なってく絵なので。
や、見てる人はちゃんと見てたと思いますけど!しょうがないじゃんせっかくヨシ君と共演してんのに一緒のダンスナンバーなんてここだけなんだよーっ(ファン事情)。

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うらすさび8

「戯伝写楽」久留米こまごま。

■十返舎一九まだまだ若い
「あれをごらん・栗山与七・お江戸一番のイケメンさー
 こっちも来た・東山与七・これも一番と評判さー」
てな語呂合わせを考え続けたが字余りを抜けられない。
そんなわけで2週間ぶりに観た栗山与七、めっちゃ良かった。めっっっっちゃ良かった(二回言う)。
いや私、うっすいなりに東山ウォッチャーでもありますが、与七はホントダブルキャストだったことでお芝居全体が面白くなったなと思う。
それぞれの与七の味や十さんとの関係の見え方については前に書きましたけども、ひさびさに観るとあの、まっすぐさのインパクト凄い。
しょっぱなの言い合いでの十さんの「この青二才!」の一言がスパッと決まった。青二才。そうまだ世に出てない青二才。

■アフタートーク
組み合わせがピーキーだったと思う(総括)。面白かったけど!
・東山君(MC/東京との違いを意識して真面目にやっている)
・小西君(上手から吉野・さとしさん・しょこたんという濃さを意識して備えている)
・しょこたん(しょこたんオーラ)
・さとしさん(座長オーラ)
・吉野さん(東山見守りモード)(かの人の「見守る」顔は大層怖いです)
いや、ファンは最高に面白いけど、初見率高い公演であのタイトロープは何事かと思われたんじゃないかな(^^;)。
あんまりにも男子全員がMCに対して塩だから、しまいにかわいそうになったらしい小西君がヨシ君にフォローしようとして「写楽が大好きだよね」と振ったのは好感度高かった。いっぽう歌麿の台詞噛んじゃった話がひとくさりネタになっていたのはかわいそうだった…。が、当初「すいませんでした」と本気の反省モードだった小西君が最終的に「すいませんでしたァ!」とガチモード(ネタ)になったので、全体として男性陣の作戦だったのかも知れない(世界一周するぐらい遠回りのフォロー)。
そんな中しょこたんの聖子様コールがトーク全体を綺麗にコーティングしてました。(しめくくりはさとしさん熱唱のホールドミー)

■いろいろあった
久留米二日目、「八立か!おもしろいモン持ってるな」からの一連。おせいちゃんが紙と八立を取り出して十さんの顔を描く…という場面。
まあ、事象をありていに言うと、八立と紙がない(^^;)。
1)パントマイムで行く判断→手早く絵を描く仕草をして、十さんに「これ」と見せるおせいちゃん。
2)それを受け取らざるを得ない十さん(カテコにて「さっさと渡すから!その後ぜんぶマイムですよ!!」)
3)「すげえ!大胆な絵や!」からエア絵を受け取って空に掲げたりして喜ぶ栗山与七(まぶしい)
初見なら多少クエスチョンありつつ「こういうシーンなのかなー」で成立してたと思う。

■いろいろあった2
浮雲の心中のことを聞いておせい飛び出す、十さん追う、与七が一人ごちる、その後ろでセットが転換して磔台が現れる、というタイミング。
その前の場面でおせいがぐちゃぐちゃにした紙が一枚、床に落ちてまして。それ自体はよくあることなんだけど、転換のついでにそれを片づけようとしてちょっとセットが引っかかったりしたらしく、かなり時間がかかってて。そのせいかは分からないんだけど、
浮雲さんが自ら命を絶つ場面で、匕首かかんざしかわからないんだけど刃物を髪から出すところ、手前の死角になってるところからザッ!と取り出して刺す動きでした。たぶんセットのトラブルから段取り変わったんだろうなと。結果、とっさの動きがまたすごくドキッとする流れになってて、絵的にかなり見事だった。びっくりした。

■いろいろあった3
東京初日以来のハプニング(たぶん)、見事にすっ飛んだラストシーンの飛び出しナイフ(笑)。いや、よく飛んだ…。客席に落ちたわりに十さん、すぐに手に持ってたとこみると最前列の人が渡してくれたんだろうな。カテコでも繰り返し前列の人に頭を下げていた(笑)。「バネが元気だった」とおっしゃってましたが、二階席ひとりじめしていた東山君、トークショーの時に東京初日のことを聞いて大笑いしてたけど、今回観れてたかなあ。

■千秋楽カーテンコール
つぶやきで書いちゃいましたが、けっこう楽しかった前の日のトークイベントが吹っ飛ぶ勢いの濃さだった…威力あったなあいろいろ。

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うらすさび7

「戯伝写楽」いろいろ。

■1/26アフトクぷちぷち
「ま、お酒の入らない飲み会みたいな感じでー、気楽にー」というMC東山君の前フリに違わず(笑)実にたらったらしたリズム&絵面で、でもすごーく内容がちゃんとしているという奇跡のようなアフタートーク。
・「なんか面白いことありましたか。僕のいない間に」というフリに答えてさとしさん、初日のラストシーンで飛び出し小刀が吹っ飛んだ話。「狂言ばかりがうまくなるぜ」って言いながらぴょーんと跳ねさせた小刀が、そのまんま客席へ…っていう再現に大受け。
・舞台稽古で十郎兵衛が浮雲を「脱がせすぎた」話。「とっさに僕がブラジャーになって隠しました」
・壮さんと東山君の気安い絡み…か?いやむしろバトル…か?なやりとりがバシバシ飛び交う。花魁の舌打ちが聞けるアフトクも珍しい(笑)。
・孔雀の打ち掛けを「ホラ着せてあげる」と与七の背中にかけてあげる花魁。そのまま背中の模様を見せてまっすぐ立ち、顔だけこっちに向けかっこいいポーズをとる与七。
・しょこたんがラストの挨拶で話す間、そのまま立ってる与七。…絵的に、ものすごい邪魔(笑)。
・小西君、ラスト挨拶で客席へ「ヨシ君、この人、ときどき英語しゃべりますから気をつけててください。バイバイとか言いますから」撃沈東山。
さすがの楽しさでした。久留米初日もアフタートークありですが、メンツ的にまたMCヨシ君だよね…(戦慄)(爆弾がいる)

■似顔絵の話
ラストシーン、十郎兵衛がおせいの描いた自分の似顔絵を破こうとして思いとどまる、というところ。
アフタートークでさとしさんが言ってたのですが、初演ではあの絵はバラバラに引き裂いてパーッと撒いて退場していたと(そういえばそうだった)。でも、今回はなぜか、その破くという行為ができなくなった。しょこたんのおせいを見ていて…というところもあるし、自分がこの8年で変わったのかも知れないし、なんか破けない、と。
 し「じゃあお芝居によっては破くかも知れないってことですか」
 さ「ああもうビリッビリに破くかも知れない」
なんて軽口も交わされており、そこは「へぇぇー」で終わったんだけど。
後からジワジワ来たのが、あの十郎兵衛の似顔絵って、作中で浮雲の死の後におせいが描いた唯一の絵なんだよなあと。
「光だけ見ていた」おせいは、浮雲との邂逅で「闇」「いつわり」といった、濁の世界に踏み込んだ。そのまま浮雲の死に触れ、取り付かれ、十郎兵衛の小刀を浴びたことで、そこから戻ってきた。
あの「いい男」の絵は、それまで世に出た写楽の絵や、浮雲もの死の絵も越えた、光も闇も、ぜんぶの要素を写すことができるようになった、写楽を超えたおせいの絵なんだろうなと。十さんの「面白い」ところをついに描ききることができた、結果、おせいにしか見えない「いい男」の全容が絵に現れてたってことなのかなーと。
…例によって、文にすると今更感が凄いですが。
十郎兵衛を描ききって、おせいは去っていく。
その絵を捨てられなまま、十さんは歩いていく。
いい、ラストじゃねえか…。

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