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2017年11月の7件の記事

Heaven's Feel雑感

劇場版Fate「Heven's Feel」の感想です。
すいません、すごい長いです。あと終わらない。

Fateご存じない方もいらっしゃると思うので基本情報から(そういう方はレポにも興味ないかもですが一応(笑))。
原作のノベルゲーム「Fate stay night(以下ステイナイト)」には3つの物語が含まれていて、プレイする順番も決まってまして。

すごいざっくり言うと
1本目:王道というか正道である「Fate」(ヒロインはセイバー)
2本目:主人公・士郎の内面を描き出す「UBW」(ヒロインは遠坂凛)
3本目:前の二つの裏側が明らかになる「HF」(ヒロインは間桐桜)
となっている。「Fate」と「UBW」はそれぞれアニメ化されていて、今回は原作から13年目にして、ついに桜ルート「Heave's Feel」(以下HF)が映画化になったわけです。

Fateがこんなにヒットして、派生作品もガンガンアニメ化されてんのになんでHFに限ってこんなに時間かかったかっていうと、まあ、とにかく、いろんな意味で「凄い」ルートだからで。
・ものすごく長い(たぶん前の2ルート合わせたぐらいある)
・そこまでの2ルートを根底からぶっ壊す
・悲惨/残酷/きつい/ホラー/とにかくきっつい/PC版とか本当にきっっっっつい
そうして、そのキツさを補って余りある輝きと感動があるっていう。「前の2ルートありきの情動」でガンガンかき回されるというか、セイバールートを、凛ルートを経験したからこそ、あのシーンで「うっ」となりこのシーンで「くっ」となり、後半に向かうほどPCに向かって叫び出す回数が増えるという…ホント愛してる、でも体力使う、そんなルートなわけで。

そんなHFがついに映画化!と聞いて原作オタクは多かれ少なかれ「大丈夫か!!」と思ったと思うし、公開初日に映画館で見終わった瞬間の自分の感想も「大丈夫か!!ホント大丈夫かこのボリュームと一見さんおいてけぼり感!!」だったりしました。その後の盛況ぶりと評価の高さを見てすごい安心したし「あ、なんだ私みたいな層だけでも興業成り立つぐらいFateって育ってたんだ…」とか思ったりもしたんですが、そういう面もありつつ、シンプルに「HFが初見」という人も楽しんでたみたいで…いや、ホント、すごい仕事だと思います。

あちこちで言われてるけどこれは導入部分の、いろんな意味での美しさの効果が大きいんだろうなあ。「一年半前」から物語が始まることで、桜がもともとどんな子だったか、士郎と出会ってどんな風に変わっていったか、丁寧に丁寧に描かれていく。初見でも入り込み安いと思うし、原作オタクからしたら「あぁ」「あぁ…」「あぁぁぁぁ…」な暗示がこれでもかこれでもかと盛り込まれてるし。

さっき書いた「HFの難しさ」には、これ人によるから省いたけど
・ヒロインに共感するまで大変な体力を要する
っていう大きな問題があって(笑)。人によりますけど!ホント私は最初、桜だけはダメだった…Hollowを経てからステイナイトを再プレイして好きになったし、Extra、そしてCCCを経た今ではホント愛してますが(地味に「間桐家の人々」と「しすたー☆くらいしす」とあと花札慎二ルートの影響が大きい(笑))、もう、ステイナイト初回の桜ルート、クリア時の釈然としなさったらね(ドス黒い記憶あれこれ)。重ねて言うけど今は愛してますよ、最高だと思うよノーマルエンドもトゥルーエンドも、救えるものと救えないものが確かに残るFate世界の真骨頂だったって今ではわかる。
いかんまた話がそれた。ステイナイトの話ってなかなか書く機会ないから書き出すと長くなる。

そんな桜の「衛宮家に来たての頃」の話は、原作では「最初はおにぎりも作れなくて泣きそうになっていた」とか士郎の視点で語られてたけど、洗濯物たたむところのおぼつかなさとか、「泣きそう」というよりジトっとした実に桜らしい(笑)表情とかをビジュアルで見せられると、13年目にしてものすごい納得感がありました。そうなんだよ士郎の視点と読者の視点は違うんだよ、特に桜に関しては(笑)。クリスマスの「私のヒーロー…」ってリボンをいじる(!)とことか、士郎の「今の、遠坂だよな」でうっわ桜!!!っていう表情でまたリボンをいじるところとか、「あぁーーー桜だな…」と思わせつつ、こう、プラスだろうとマイナスだろうと、見る側のキモチがどんどん桜に近づいていく。こんな課程は原作にはない(FateとUBWを終えても「桜」の内面を想像させる情報はない、ここが桜と琥珀さんの違うところ>また話がそれる(笑))。

そんな物語が静かに続いていき。「一年半前」からゆっくり流れる時間が「一日前」「当日」となって、「運命の夜」がやってくる。コメンタリーで奈須さんが「これは桜にとってのカウントダウン、当日になったら(桜の大事な日々は)終わるわけだから」言ってて落涙した…。
部室の掃除する士郎、帰路をゆく桜、「日常」がストーーーンと壊れた瞬間からオープニング。不穏な切迫したイントロに「原作:奈須きのこ」の文字が重なり、「ランサーの襲撃」「士郎蘇生」「セイバー召還」ここまでだったら序盤のヤマにあたるFateの名場面が音楽に乗ってものすごいスピードで流れていく。
いや、もう、震えが来ました。「今までのFate」を全く踏まず、オープニングでは「事実」だけを踏み、あとは間桐じーさんの語りで塗り尽くす。このスピードで「ペンダント」「セイバー受傷」「凛の令呪」といった後の展開に大事なとこはぜんぶ踏んでるあたりもビシビシ刺さるし。うおお。

序盤で力つきたので一旦筆を置く。とっとと書かないから脳内でこじれるんだ…。

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ベスねたとーく2017-6

「レディ・ベス」東京終盤雑感つづきです。

■綾ベス
序盤のベスの行動のむちゃくちゃさに対する処方箋、花ベスの場合「慌て者なのでしょうがない」に対して綾ベスは「切り替えが早い」かなと思いました。ネバー・ルック・バック・ゴー・アヘッド。その一貫性で突き進め。
「我が父は王」が東京中盤、ちょっとこれいくらなんでもパワー出しすぎじゃないかと思ったんですが、千秋楽、強い中にも思慮深さ、繊細さが感じられて嬉しかったです。それにしたって「『我が父は王』って唱える度にギアが一段ずつ上がる」パワフルさは相変わらずでしたが(笑)。「脅しには負けーなーいーーーー!」の爆発力とか、とても、こう、未来メアリーに似ている…狂信に近い未来メアリーのカトリックへの傾倒と、序盤のベスの父への盲信ってけっこう重なるのかもなー。困ったもんだヘンリー王の娘たち。
そんなエリザベスはいつの日かメアリーのような暴君になってしまったかもしれないけれど、彼女は「ロビン・ブレイク」と出会って大人になった。だが君もー教えたーひとの話をきくーちからをーみたいな。(雑な思考で真相にたどり着いた感)

■吉沢メアリー
未来メアリーだとそんな綾ベスをふっ飛ばすぐらいの「悪魔と踊らないで」をこの後かましてくれるのですが、吉沢メアリーは真逆で、元のポテンシャルでこの妹には絶対勝てない、だから戦わなきゃ、押さえつけなきゃいけない、っていう必死さがザクザク伝わってきます。ルナールの4つの敵の話で「なにものにも増してレイディ・ベス」って言われた時のこの人の表情すごくいいよなあと。
千秋楽ラストの「おまえは愛され、わたしは嫌われた」、プロローグでヘンリーとベスを見上げるリトル・メアリーがフラッシュバックして泣いた…。

■クールヘッド日記
イギリスに関して取り交わされた議論は「やめろ、わかった」で決着してて、曲終わりのルナールが慇懃な臣下に戻ってるのが好きです。台から飛び降りてきて王子にキューを渡す前に一回、目を合わせて軽く頷く、その後の決めポーズだけスペインチームが一枚岩に見えるっていう。
からの古川Ver、千秋楽(笑)。
「結婚式は来年の7月20日、ウィンチェスター大聖堂で執り行わる予定で…(フェリペいない)」ここでルナールが大きく舌打ちする。撞球台に向かってキューを構えようとしていたフェリペはそれを聞いてちょっと振り向き、軽く愉快そうに笑う(こ の 顔!)。
この後ゲームで失敗して「不吉な…!」って言われてる間、ルナールは軽いザマァ顔で笑ってるんですが、そこにはっきり振り返って王子、ルナールに目を合わせて陽気な顔で「もういい」、チッと舌打ちして、「飽きた。」
対するルナールは微笑。(こ  の  顔。)
…今期、ここほど下手席に感謝したことはない(笑)微笑っつったって優しいにっこりでもなければ嘲る笑いでもない、単に「フッ」と鼻が鳴る程度の軽い笑い。
あえてアテレコするなら「はいはい」(爆笑)。あーーーもうね。
ホント台無しだね私のレポートはスペイン語り出すと(本論だからしゃーない)。

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ベスねたとーく2017-5

「レディ・ベス」東京終了。

前楽のカーテンコールで育三郎君が「新曲もあり」「新たに作り直し」「全く別の作品のような」っていうことをあらためて繰り返してましたけども、初日前に聞いたこれらのフレーズが、プラスにもマイナスにも「的を得ていた」今期の「レディ・ベス」でありました。
いい変化もたくさんあったんだけど、やっぱりなんせ終盤の変更はもったいなすぎた。お陰でさまざまな優れた改善点に目がいかなくなっちゃったことはリピーターとして反省している。今回が初演で、再演があっちだったら文句いっぱい言ったと思うし…いや、同じくラストの違いに目を奪われただろうなあ(苦笑)。今でも「ついに君は自由の身」以降の一連、平方古川両Verで完全再生できるし(笑)、「心は君に」を歌えば脳内上映ラストまで突っ走るよ…。
言ってもしょうがないし、「別の作品」を楽しんだけどさあ。
「もったいないことしたよなあ」っていう気持ちでとうとう楽まで駆け抜けてしまった。この態度がもったいない(苦笑)。

とはいえキラキラした瞬間もいっぱい得られたんで書くは書く(笑)。前楽と楽の感想を中心にコツコツ行きます。

■山崎ロビン
前楽でひさびさに育ロビ観まして。なにもかもひと(加藤君)と違う。面白いー!
初演では育ロビの「周りを省みなさ」「俺が宇宙の中心」感になかなか馴染めなかったんですが(最後もなじんだっていうより「負けた」んですが(笑))、年を重ねてちょっと落ち着いた雰囲気の、でも俺様、っていう育三ロビンはとても魅力的だなと。「説明してくれ、どこがいけないのかを」全部だよ(笑)…まあそういうところがいいんだな、って思えるようになったのはこっちの変化か、むこうの変化か。
奔放で悪気のない、自由気ままなアーティスト(だから最初からそう言ってるじゃねえか)。ベスとの出会いで初めて「他人」に心を奪われた、それが「…あんたは?」という言葉の前の間に現れてる。
ウッドストックでベスに再会したとき、加藤ロビンは「やっと会えた」っていう嬉しさで突っ伏してしまう、喜びが全面、ですけど、山崎ロビンは手を広げて「来たよ、俺だよ!」ってベスに笑いかける。以前なら自己中に見えたけど、これは彼にしちゃ最大限の「相手に向けた行動」なんだなって思える。ああ、相変わらず客席に決め顔するけどアリだこれ、と思った。
いつもどこかカッコつけた微笑みを浮かべていたロビンが「晴れやかな日」で、てらいのない、歯を見せたにかっ!…っていう笑いをベスに向ける、ベスも微笑み返す。ここにえらく感動してしまったのが、今期の前楽の収穫でございました。

■平方王子
初演では「大物っぽく振る舞う人」と取ってましたが、再演では「いずれ大物になる、等身大」になったなと思います。つねに余裕を見せる、そういう教育を受けてる、汗をかいても「涼しい」という、そういう個性。…一貫性あるじゃねえか。「道ゆく人」でも結婚式でもやたらメアリーの容姿にこだわってるように見えるのがたいそうアレなのもすごく彼らしい(笑)。
毒のシーンの幕引きがホント鮮やか。強引に、自然に、傍若無人にふるまって、ベスを逃がして、ああ、惜しかったなあ!まあいいか!って終わる。「いずれこの借りは返してもらうさ」の軽さ、有言実行に見えるし未来を予感させる。「あの女と結婚すればよかった」も、最後の「帰るぞ」っていう一言も、あっこの場面でスペイン組は退場するんだな、っていう締めとしてとても綺麗に腑に落ちる。古川王子?あれ絶対あとワンシーン残してると思ったと思うよ、初見だったら(大苦笑)。
ルナールとの関係もこう、すごくお互い気心は知れてるけど、お互い踏み込む気がぜんぜんない「身内」感覚が楽しいです。
「クール・ヘッド」のボールのやりとりがもはやお互いボール見てないんじゃないかぐらいの空気感で、あいつの玉がどこにあるかなんてわかってるよって感じ(変な意味でなく(笑)(笑))の自然な投げ合いが小気味よい。ラストの「さすがクールヘッドー」のやりとりも単純に結婚式の挑発へのルナールからの返礼のようで、ああお前そういうやつだよな、っていうお互いの、なんていうの、やっぱり「身内」なんだなっていう感じがとても気持ちよかったです。

この調子でたらたらつづきますー。

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ベスねたとーく2017-4

「レディ・ベス」いろいろ。今日は東京千秋楽ですが、まとめモードで続く。

加藤ロビン&花ベスのラストシーンについて。
再演の改変ですべてが変わってしまったペアなんだけど、ストーリーとして納得できる流れになったのは凄いなあと思います(未練は未練で一生残りますけども)。

初演ではベスは、ロビンが来た時点でもう道を決めている。「ベス」「ロビン」「迎えに来た」「…ありがとう」この時点のベスを見れば、ここからはもう別れのやりとりだって明らか。まるまる一曲かけて「別れるけれど一生、心は君にある」ことを証明できた。
ところが「黄金の籠」はものすごい優柔不断ソングで「わかっているでしょう難しいと」とか変に「交渉中」ステータスな表現が混ざり込むわ、なのにいつの間にか「一生愛は残る」的な歌詞に着地してるので、いったいどの時点で別れることになったのか全然わからん。ベスの意志が決まってないうちにサセックス伯来ちゃいました!ロビンあっさりベスの戴冠を受け入れました!に見えかねない(実際初日はそう見えた)。
ここを「わからない…どう言えばいいか」でのベスの泣き顔と、その後の、ああ、終わりなんだな、って諦観しながらもあえて「飛び立とうよ」って歌いかけてるロビンの表情とで、やっとこさこう、ああ「ふたりが覚悟を決めていく曲」なんだな、って受け入れることができた私です。
迷走したし、たぶん間違ってるよ、認めるよ。

そんなだからロビンの泣き顔もより、可哀想なんだよな…。
初演。ベスが去り、見送るロビンが、客席側に振り向く。そこで顔が一気に歪む。膝をついて泣きじゃくるロビンをアスカム先生が力づけるように、上から何度も肩を揺する(ロビンますます泣く)、やがて立ち上がったロビンは深く落ち着いた表情を浮かべて、アスカムに深く一礼して走り出す。
再演ではこんな時間はなくなってしまい。一瞬、泣き顔を浮かべるロビンは、アスカム先生にも泣き顔を隠したまま言葉を聞き、一礼して走り出す。そこにあるのは「我慢」で、たぶんこれから一人で泣くんだろう。
もともと加藤ロビンて、泣きまくるけどなんとかしてベスの前では笑顔であろうとする、ベスがいないところで情けない顔になる、っていう部分があったんですけど、今回はもう「誰にも」泣き顔を見せない人になっちゃって、納得はするけど、ひたすら可哀想だったりする。

気を取り直して。
先日、花ベス&加藤ロビン・下手席で「晴れやかな日」を観まして、ああ、よかったなあと思いました。
ロビンに向けたベスの表情。ほとんど泣き顔みたいな、子供っぽい笑顔。最後まで「少女」だったベスらしく、ぜんぜん大丈夫じゃないしこれから大変だし、だけど花を差し上げて笑顔で送り出してくれるロビンに精一杯の、花が咲くような笑顔を返す。たぶん今もロビンを愛してる、そういう少女の顔。
初演のような静謐な、多くの記憶や情感が込められた、青春を永遠に閉じ込めてしまった「女王」の顔ではないんだけど。この再演だからこそ出会えた笑顔(あるいは泣き顔)を観られて嬉しかったです。

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ベスねたとーく2017-3

「レディ・ベス」いろいろ。もう東京ラストスパートかー。

■加藤ロビン&綾ベス
初演の印象は、最終的に「ロビンが可哀想だよ…」でした。ベスが剛くて、潔くて、ロビンが真心を尽くしても最後には置いて行かれてしまう。
再演では綾ベスが、さらにさらに、さらに強くなった結果(冗談抜きで未来メアリーと手をとりあうシーンが「リングにかけろ」の剣崎の「竜、おめえが世界チャンピオンだ」に見えた)、かえってこのロビンの玉砕がさわやかに映ったところがあり。「なるほど、突き抜けるとこういう効果があるか…」と思いました。いや、ギャグじゃなく本気で思ったんだってラスト「よくやったロビン!すばらしい戦いだった!!」ってさあ…。あの!綾ベスに!恋で挑んだ時点で!価値感を受け入れさせた時点で大金星。最後のイモーテルとかほんっと爽やかで晴れやか。これはこれで。
異論は全て認める。はい。

■異なる意見ゆるす
席の関係でエミリー・レノックスがすごくよく見えた回があって、教会の鐘の歌でグッと来た。みんなからは一歩引いて、傍観する位置にいながら、歌の言葉ひとつひとつをかみしめて笑顔を浮かべてる。彼女にとっては「自分は自分」が大事な言葉なんだなあ。
ベディングフィールドの「カトリックのミサに出るな、プロテスタントの聖書朗読会に出席しろと」っていう台詞、前にはなかった「聖書」っていう言葉が入って、それぞれの信条の違いみたいなところが地味にくっきりした印象です。のちのベスは正教会のありかたを整えていく課程で「聖体拝領なしでもいい(カトリックからすると「ミサなし」に近い)」とか「教会の『華美な装飾』を残してもいい(プロテスタント的にはナシ)」とか、劇中で出てきた両者の谷間を高度な政治感覚で寄せていったんですよね。

■首斬り役人
初演も再演も、解釈は人それぞれでしょうけど、いくつかキーになる動きが追加されたり、ベスの反応も違ったりで、毎回いろんなことを想像させてくれるのがいいなあと思います。「ベスの内面」と取るもよし「アン・ブーリンの護り手」と考えてもよし。
「この存在には独自の意志がある」って考えて観ても楽しい。初演ではあんまり私はこの解釈はしなかったんだけど、ベスが逮捕された時の「ひとりじゃない」でアン・ブーリンを指し示す仕草とか、二幕あたまのベスのソロに影コーラスが重なる「やっとわかったか」「おまえは死ぬ」ってくだりとか見ていくと、ああ、この「人」はアン・ブーリンの為に現れたんだな、だからベスがアンを受け入れたとこで役割は終わるんだな、っていう印象でしっくり来た。
一幕では首切り役人の動きに引きずられるベス、っていう動線も印象的でした(綾ベスだとくっきり)。

■庭園ぷちぷち
・下手から見るターザンのアオリっぷりが大好きです。ひゅーって来て一旦ひゅーって戻ったところ、正面からだと見切れるあたりでニコニコ手を振るのいい感じに腹立つ(笑)。
・「誰でも歌える」は小気味よくてスリリングでわくわくして、初演も再演もほんっとに好きなんですが、この明るい雰囲気と同じ旋律を使って最後にベスとロビンが「心は君に」を歌い交わす、っていうのが本当に好きだったんだなあと(懐古を封じるのをあきらめつつある)
・「ほらね、君はちっとも自由じゃない」はエミリー・レノックスを受けてクリアになったよなあ。

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ベスねたトーク2017-2

「レディ・ベス」東京公演ぼちぼち最終週ですね。
それはそれとしてランダムねたぷちぷち。

■花ベス
「我が父は王」は彼女にとって「強くなるおまじない」みたいなものなんだなあと思いました。
今期の花ベスは生まれは王女だし貴族ではあるけれども、この19歳の彼女はあくまで少女で、弱くて幼いお姫様。
そしてプロパティとしてスキル「慌て者」を持つ(重要)。「手紙を書くわ」→「ガーディナーを追いかけます」→「(メアリーの手紙は)いい知らせね!」っていうこの、普通にやるとむちゃくちゃになる台詞たちがこの「そういう性格なんだよこの娘は」な流れで全てが説得力を持つというね(個人の解釈です)。ホント花總さんさすがだなと思ったのは「我が父は王」で「手紙を書くためにペンを取ろうとするんだけどほかのことに気を取られて、やがて手紙のことはすっかり忘れてしまう」っていう仕草(瞠目)こういうのが随所にある。
その幼さ、か弱さっていう本質が最後まで続くのが今期の花ベスの鮮やかなところだなと思います。成長する、女王になる、なぜなら選ばれた人間だから。でもだからって本質の「少女」らしさを失うことは最後までない、っていう。序盤で聖書を奪われて泣いていた少女も、終盤でアスカムに「女王になりたくない」と叫ぶ少女も変わってない。それでもアスカムは、彼女が少女で居続けることを否定する。
そんなシーンからの、泣きながら顔を上げたベスの
「わからない、どう言えばいいのか、私、あなたほど自由になれない」
がストーン…と腑に落ちた今日の「レディ・ベス」でありました(長いよ)。
「翼が傷ついたから飛び立てない」ってなんじゃそりゃ、と思ってきたんですが、この言葉にしろ、「わかっているでしょう、難しいと」とかごにょごにょした(失礼)歌詞にしろ、すべて表層のやりとりにすぎず、その裏ではベスとロビンの心のやりとりがちゃんとあるんだなあ…って思えた。これも受け取り方の一つに過ぎないけど、もうちょっと追っかけてみたいと思います。

■クールヘッド
キャッチボール!(物理)キャッチボール!(台詞)
そしてキャッチボール!!!(感情の)
みたいな(笑)いっやーワクワクした。
いや、ずっとここのボール(物理)の投げ合い、特に古川君だと邪魔だなあ!と思ってたのですが(平方Verは「遊んでる」空気が強いのであんまり違和感がない)、ひさびさに観たら感情の流れとボールのやりとりのテンポがめっちゃ噛み合ってて、ポンポン流れておーもしろい。
食い台詞の応酬、ギラギラした視線の投げ合い。上っ面では遊んでるけど本人達めっちゃ真面目な話してる空気。
「プランにはお目通しいただけましたかな?」「メアリーと?(ギラリ)」といい「妹のベスがいい」「ありえない!(くわっ)」といい「王子に生まれたさだめ」のこう、相手が分かってるのは百も承知なことを上から念押しする感じのルナールの事務的な容赦なさとか、分かってること言われて気に入らない、けどそれなりに慣れてる(耐性は持ってる)王子のこなれたイライラ感とか。からの「進めろ恐怖の結婚」への「ハイ(終了)」みたいなルナールの一礼とか最高にツボです。さらに「もういい、飽きた」への「ハイ(終了)」みたいな微笑もなあ…ホント効率いいな下手は!!!!
こういうやりとりのあとルナールの「(王子は)すこぶるお元気です」を聞くと実際、爆笑しそうになります。ああ楽しい。

■逮捕シーンぷちぷち
・「アスカム先生旅に出る」が唐突感あるっていう感想を時々伺うのですが、この方はけっこう他の土地に教え子がガンガンいる設定で観てたのでそこは気にならなかった…むしろキャットに呼び止められた後「手袋をはずす」のなんでだろうなと(黙れ)。
・↑この後の兵士の乱入シーンでキャットやパリーが殴られる流れには最初へぇぇと思いました。場面がとても自然になったなと…お陰で初演の時さんざん脳内でツッコんで来た「パリーの荷物回収」がやっとナチュラルになっ(黙れ)。
・それにつけても門の開け方がパリーだと「物理」でキャットだと「魔術」に見えるのは致し方ない。
・連行される直前のベスが駆け寄ってくるロビンを押しとどめるところ、綾ベスはめっちゃ凛々しくてさむらいのようだった。こういうところにもロビンとの関係の違いが如実に出るなーと(追って掘り下げる)。

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ベスねたトーク2017

「レディ・ベス」キャスト雑感こつこつ。

すごく大ざっぱに表現すると「少女=綾ベス」で「王女=花ベス」だった初演に対して、これまた大ざっぱだけどちょうど「逆」に感じられる今回。
「我が父は王」でズバァァァァンと王族の誇りを放射する平野ベスあり、同じ歌でもって「父が王」という事実しか縋るもののない「幼い」花總ベスあり。そこからスタートすれば他のキャラクターも見え方違ってくるよねえ。

■未来メアリー
狂信者の力強さともろさを帝劇中に放射する未来メアリー。綾ベスとだと「あのバズーカ娘が一撃で吹っ飛ばされたぞ!なんだこの姉!戦車か!!」ってなるし、花ベスだと「お姉さま手加減してやって…いや、この姉は本当に強者じゃないのかも…?」みたいな複雑な世界観に入る。前者はスカッと楽しいし、後者はああドラマ観たな!ってなる。
今回の演出、スーザンの役割が大きく削られたことでメアリーは徹底的に「孤独な人」になっちゃったわけだけど、結果、この強烈な未来メアリーが翻弄され、打ちのめされる後半の威力はハンパないです。
最後にヘンリー王の肖像画を見上げるところ、下手から見たらほほえんでたんだよね…花ベスが少女の頃にそうだったのに対して、この人は一生、お父さんに縋っていたんだなあという納得と悲しさ。

■吉沢メアリー
序盤からもう「本当は弱いんだけど頑張っている」オーラばっきばきの吉沢メアリー。プロローグのリトル・メアリーがそのまま体だけ大きくなったような、理不尽さや寂しさに慣れきった彼女がベスを攻撃するとき、やってることは低レベルな嫌がらせなのに、もうなんというか「殺らなければ殺られる」的なギリギリ感がザクザク伝わってきます。なので結婚のくだりで嬉しそうなのがホント可哀想でなあ…いや、ホント、この人に優しくしてやってよフェリペ(T_T)(ルナールには言わない(^^;)初演と再演で奴のメアリーへの態度はかなり違うけど、残酷さは変わらないよなー))。
「狂信」じゃなくけっこう理性的に自分の弱さわかって、それで宗教に縋ってる感じも切ないです。未来メアリーにとっては信仰が武器だけど、吉沢メアリーの場合は防具というか、ホントそれなしじゃやっていけない最後の薄皮なんだろうなと。ヘンリーの肖像画を見上げる表情とか、自分が間違ったそもそもの根源を認識してるようにも見える。これまた切ない。

■アン・ブーリン
どーにもこの人の存在が濃すぎてまとめきれない今期の「レディ・ベス」。前は「怖ぇよ」と思ってきましたが、今期はこう、グレートなマザーとしての怖さじゃなくて、もっと子供っぽい、シンプルな、クリアな危うさっていうか、純粋さとか心もとなさにヒヤッとするというか…ホラまとまらない(笑)。ベスを愛している=本当、ベスを縛っている=それはベス次第。ベスを王座に導く=それが幸せなら。ベスを愛に導く=それが幸せなら。みたいな。
「愛のため全て」でのアスカム先生との対峙。以前はわりとキリッと(イラッと)戦う印象でしたが、こう「柔よく剛を制す」みたいな、こう、より手強く、より優しく、真綿で首を絞める微笑が、こう…すいません別にアンが攻撃的だとか本気でボスキャラだとか思ってるわけじゃなくて(いや思ってますけどそれは抽象的な話であって)、もう、なんかさあ、何回見ても掴みきれないんだよこの人。めっちゃ怖いし心底惹かれる。

■疲れたのでロビンズねたぷちぷち
・「歌ってわすれようー」の輪っかのやつが最近あまり失敗しなくて寂しい(笑)加藤ロビンの場合あれで何か起きると超反省会モードになるのが楽しみなので「ダメダメだ!」「お前がダメだ!」「俺だ!」。
・ホラティウスの謎キャラ化がツボです。「ハハハハハー!」
・スクラッグがホラティウスの膝に足かけてほいっと上るあれすごい。
・「道行く人」で3人がメアリーの悪口言ってロビンが止めようとするっていう機微は未だにピンと来ない(^^;)理屈は分かるけども。
・1789を経て最近ホラティウス観る度に脳内で「みつばちロワゼル」と呼んでましたがみつばちじゃなくていもむしだった。みつばちはトゥルヌマン。

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