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2017年4月の1件の記事

Double Flat

「♭♭(ダブルフラット)」を観てきました。

一回は観たいなあ、と観にいったのがBlackバージョン、流れるように次の日にBlueバージョンを観た(笑)。
とある有名な兄弟の話を下敷きにしたダンスパフォーマンス。Black、Blueで主役二人が入れ替わりで兄・弟を演じ分ける。頼もしそうでいて繊細な兄貴と、ピュアで儚げだけど生き方がド器用な弟。ドラマもキャラも、凄まじい内容のダンスも曲もアクションもぜんっぶ入れ替えの2バージョン。こりゃー凄い。双方のファンに超・贅沢な内容…ていうか全リピしても足りないだろう4日間じゃとてもとても(^^;)。

キャラやナンバーがそれぞれストライクなのはBlue(大野カイ・上口ベル)、お互いに相手の領域をいいー感じに侵食してんのがBlack(上口カイ・大野ベル)、前者は王道・後者は玄人ファン向けって感じ(異論は認める)。いやだってダーク上口とかファンからしたら財産だろう。
そんなわけで「もう一回観るならどっち」と言われたら死ぬほど迷います。この雰囲気内に即興コーナーが違和感なく収まってるお得感もすさまじい。あと振付がすごく凄い(語彙)。

下敷きになってるのがカインとアベル、というのはくっきりしてるんですが、物語としての再構成の仕方がシャープなのになんかこう、穏やかで豊か。掛詞とか仕掛けとかも何かと多そうで、そういう意味でもリピートしたかった…"nod off"と"the land of Nod"とかあーゆーのたまんない。
さらにフィナーレ曲のボヘミアンラプソディーはituneで即買いして日曜日に超リピートした。この曲ベースで本編作ったのか、逆なのかどっちだ、どっちにしろ奇跡だ(笑)。

ちょいハードというか、「うわ…」と思ったことが、カイの描かれ方でふたつあって。
ひとつは二人の父さんにあげた「贈り物」がどちらも同じ価値に見えること。
聖書だとカインの「贈り物」が拒まれてアベルのそれだけが受け入れられたのは、カインが「収穫の一部」を差し出したのに対してアベルは「一番貴重なもの」をささげたからじゃないかな、と思うんですが(別解釈は鬼のようにありますが(^^;))、この物語ではカイだってとても素敵なものを渡そうとしてるのに、全くわからない理由で自分だけ拒まれる。「そりゃ父さんあんまりだよ」と普通に見たら思うだろう。
もうひとつは妖精スールの表情。「罪が戸口でお前を待ち構えている」のスールがはっきり笑みを浮かべてる。
前述の贈り物の件があるから、聖書では「逆ギレしてるカインに神が警告する」わりと理にかなう流れなのに、この話だとまるでカイを誘惑して、罪人に陥れようとしてるようにさえ見える。ベルを殺したカイを糾弾するところでもスールはまるで嘲笑するかのようで、印をつけるのも「守るため」と言いながら、彼に消えない罪の「跡」を残すことに意味を持たせてるように感じる。
神は理由なくどちらかをとるし、罪は消えることはないし、っていう救いのなさ。そういう解釈もあるけどさあ、しんどいよなあ…とカイ視点で思ったんだった。

つぶやきでも書きましたがこの作品を観たら成田美名子の「CIPHER」がむしょうに懐かしくなって、久しぶりに再読中。「カインの印」や、兄と弟それぞれの視点と、二人に流れる空気。世界観というか裏テーマがキリスト教的なんですが(成田作品は作品ごとに違う宗教感が下地にある)、その空気がグルッと回って最後に「CIPHER」というタイトルに繋がる鳥肌。ああ好きだー。

これもつぶやきで書きましたがオープニングの全員でのハードな踊りんとこで「あの男の人すっごいスタイルいいし巧いなあ!」と思ったの演出の小野妃香里さんでした(ありがちなオチ)。役名の「リュンヌ」はお月様かな。

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