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2015年12月の1件の記事

レミゼを観に行こう(韓国編)

先週末に友達と韓国へ行ってきました。
ソウルは2年か3年ぶりだっけか(曖昧)いろいろ歩き回りました楽しかったー。
で、初日に観た「レ・ミゼラブル」の感想なぞ。

韓国レミはもちろん初めてなんですが、そろそろ告白すると私は新演出とうとう一昨年の1回しか観てないので(笑)いろいろ初心者モードで楽しんできました。
以下、韓国ならではの話と新演出共通の話、ごたまぜだと思いますが感想こまごま。

■劇場の話
「モーツァルト!」をやってた世宗大劇場は、東京で言えば新国立の大ホールって感じでしたが、今回のブルースクエア・サムソン電子ホールは日本で言えばそうだなあ、日生を見やすくしたような感じ(語弊)。一階席の傾斜が少なめなのはちょっと難しいですが幅が狭くて見易い、3階席の高さがあるところはアン・デア・ウィーンにもにてる…いや、あれだ、普通にロンドンのクイーンズシアターを綺麗にした感じだ、今思えば(笑)。できたてで現在も改築中なんだそうで、設備やロビーはピッカピカでした。香盤表は写真の組み合わせでめっさ豪華だし、大きな衣装スチールもたくさん。携帯構えたままロビー一周したくなること請け合い。

■ヴァルジャン
キム・ジュンモさん。日本では観てないんだけど良かったー。
序盤のギラギラ感で「カッケェェェ!」と思って、その後の市長→コゼットとの交流を観ていって、ああ優しい、内面が美しいなあ…としみじみ涙を流した。
一番グッと来たのがカフェソングの後、マリウスとコゼットを見守る場面で。「おれのものじゃない」の優しさ。ただただ、二人が愛おしくて、彼らが幸福であることが嬉しくて、自分が要らないことに対しての悲しみとかどこか超越している、相手の幸福だけを受け取る微笑。
凄くこう、キリスト教的なヴァルジャンだなあと思いました。聖書で「愛」と訳されている言葉の多くは「(相手を)大切にする」そして「(相手の為に)損をする」というニュアンスだという話が大好きなんですが、「神様のおそばにいることだ」がホント腑に落ちる、尊いヴァルジャンでした。

■ジャヴェール
キム・ジュンヒョンさん。
ストイックで迷いがなく、他人に厳しく自分にはもっと厳しく、自分の道を淡々と、でも本当に誇り高く歩いていく…なので自殺に納得。すっごい納得。ホントのレ・ミゼールはこの人なんじゃないかというタイトルロール感すらある、つめたい銀色の、誇り高い、可哀想な人でした。
しかし、アリなのかこんなに綺麗なジャヴェール(笑)。顔もカッコいいけどスタイル、そして所作が素晴らしい。「対決」の鎖使いとか脚さばきとか決まりすぎてむしろ笑った。劇中でわーきゃー言いたかったすごく(笑)ガマンしたけど。
「スターズ」とかあまりのきらめきに目やられたし…なんか韓国版って照明がものすごくいいんだよね。曲の盛り上がりに応じて、後ろからじわじわ光り輝いていく、まだ明るく、もっと輝く…ってキラッキラしていく「This I swear by the STARS!」…これ「蜘蛛女」かなんかで話題になった何とか言う凄い高価なライトじゃなかったっけ。この効果も多用はされなくて、肝心かなめなとこでしか使わない、そのメリハリも良かった。
声援も凄かったです。スターズの後で黄色い声キャーッていうのに違和感がないのが凄い(笑)ロンドンみたく全曲じゃなくて、ほぼスターズだけなの。すっごい愛されてるキャストなんだなあって感じました。

■エポニーヌ
自分史上もっとも原作準拠なエポを見た。
乾いたみじめさ、破滅を内包してる弱者感、「絶望」が状態じゃなくて常態。「そんなもんよ私の恋、笑っちゃう」な雰囲気が骨の髄まで通ってるというか。
オンマイオウンが「妄想」じゃない。カギカッコつきで「こういう可能性があったっていいよね」って字面で言ってみてるだけ、そんなことありえない、起き得ないって百も承知したままで歌いきる。これは凄い。
これはファンテもそうなんだけど韓国の女優さんって、プロフィール写真では綺麗にお化粧するのに舞台ではとことん役に合わせるみたいで、「盛らない」というかむしろ引き算するくらい思い切った地味メイクをする。
一般に日本もヨーロッパもエポニーヌのウェイトが高い=「薄幸の美少女」的な見え方になることが多い、それはそれでドラマとしては綺麗なんだけど。エポニーヌっていう無力な小娘の絶望的なみじめさ、それだからこそ見えるドン底のやわらかい沈黙、絶望を通り越した安らかさみたいなものは、そう簡単に舞台では表現できないよなあと思うわけです。
若くて、みじめで、自分は貧相で価値がないって「思い込んでる」んじゃなくて「知っている」。こういう彼女から出てくるひとつひとつの表現が強烈でした。やばいこれマイベストまじで。たぶんまだまだ新人さんなんだけど、その若さがエポニーヌのキャラにダイレクトに生きる感じ。いいもん観たわーー。

■アンジョルラス(とマリウス)
できた指揮官、頼れるリーダー、ただし簡単には頼らせてくれない「自分のことは自分でしろ」な正しい親分(笑)。孤高じゃなく、空回りもしてない、リーダーとしてスキがなさすぎて、ギリギリアンジョが好きな自分から見ると可愛さが足りない(笑)。未熟者のマリウスをもーちょっと構ってやれよと思うんだけど、リーダーとしてのストレートな意志とブレなさはすばらしかった。(なので大人のグランと最後にかみ合ったところのカタルシスがすさまじい。)
マリウス。えーとスポーツマン。悪くはない悪くはないが、シューゾー・マツオカのマリウスがアリなのかという話で、いやホントなんでその髪型にした。
あとアンジョの人が見た目ちょっとマッチョルラスで安岡力也ににてたので心で「安岡と松岡」と呼んでしまっていた色気ゼロの脳内アンジョマリウス。余談ですがこの二人に色気がないと私はレミをかなり公平に見られる(大苦笑)。

■グランテール
酒は呑めども呑まれるな。芯の通ったグランテールでした。弱っちく見えるけど実際は老成していて、自分の考え方も持ってる(ちゃかしてるけど)。この戦いが何のためかとかもわかってるし、でも結局何も変えられないだろうこともわかってる、そこをごまかしてみんなと一緒にいるために酒びたりキャラをある意味、演じている…ように見えました。
本気で「死など無駄じゃないのか」って言ってる。基本的にこのせりふって弱グランがキレたって見えることが多いんだけど(阿部アニキまで行くとまた別ですが(笑))、彼の場合は大暴れ(暴れるんだこのグラン)しながらアンジョルラスに胸倉掴まれるまで全員に「そうだろう?!」って叫びを叩きつける。そうして最後の最後、バリケード陥落の直前になって、倒れたマリウスの前でアンジョルラスと腕を握り合い、笑って、彼を追って駆け上る…(そこで例の照明ぶわああああ)
いやなんかひっさびさにバリケードでダラッダラ泣いた。
ガブとのやりとりもよかったです。新演出でグランテールの役割ってちょっとガブローシュ寄りになったせいで(旧演出ウォッチャーから観ると)薄れたな、と思ってたんですけど、この人ぐらいしっかりやれば全然アリだわ。

■学生たち
「M!」でも思いましたがアンサンブルレベル高!たっか!!それも「歌が上手」とかそういうことでなく(もちろん上手だけど)個々の動きがとことんいいのと、全体でうわっと動くときの統一感がすんごい。
そしてそれが「わざとらしくない」これはなんなんだろうなあ…こう、全体で動くアクションってキャストの習熟度によって「動くぞこれから一緒に動くぞ!」っていう気合、準備?みたいなものが見えすぎちゃって、結果、学芸会的なわざとらしさが見えちゃうと思うんだけど、このカンパニーはそれぞれのキャラクターが自分の動きからシームレスに全体の歌詞や動作に入っていく、その辺の「できたチームだなあ!」感が凄かったです。
彼女はマボロシのくだりのボトルリレーよかったなー(笑)。

■歌詞、台詞
韓国語はわかりませんが、英語版の韻を残して訳してるんだな、という場面がいっぱいあって嬉しかったです。ABCカフェでのグランテールの「ウー&アー」のとことかおっと思った。よく英語歌詞と比べて議論になる「行こう」「待つわ」のところもしっかりマリウスとエポニーヌの歌詞が重なってて、意味は分からないけどホント嬉しい。いっぽうでこれは日本語的になってるのかな?と思ったのがファンティーヌの首飾りを売るところ。英語だと途中で「ガラクタだね」って婆さんが背中を見せるんですが、日本語の尺だと間に合わないから「かざりを」となってる、ここは日本版と同じっぽかった。文法は日本とにてるそうなので、文字数の課題は日本と同様なんだろうな。

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