振り返り2
■誰の意思
今更ですがラストの戦う高麿と若者のシンクロについて。初演でもここは映像か実体か迷われた部分だったそうですけども、話自体の見え方が全く変わった部分だなあと思います。
映像のアテルイは、今とほぼ同じく「聞けヤマトの民よ…」のあたりから浮かび上がるんだけど、「このヒタカミの大地と共に…」でぶわっと広がって消えていく、という出方だったと思います。今回だとその後に田村麻呂と切り結ぶ間もずっと一緒に戦っていて、最後にヤマト兵たちに槍衾にされた瞬間に消える。
うまく言えないんですけど初演のこの場面って、ヒタカミを守るアテルイの意思が高麿の意思を覆って(もっと大雑把に言っちゃうと「高麿に乗り移って」)いるように見えたんですね。今だと「自分が正しいと思う道を歩け」って言った若者が、まさにそうやって歩ききった高麿、そうして滅びていこうとしてる高麿と、単に最後まで一緒に戦おうとしたように思えるわけで。まあどっちもアテルイなんだけど、前は半分、自然に同化した「大いなる意思」「導く存在」みたいなアテルイで、今は実体であるあの「謎の若者」、高麿に真実を見て欲しい、知って欲しい、って言ってただけの若者なんだなあと…別に、見たまんまですね(^^;)。
剣を抜いて鞘の方を構えちゃうような「お役人」である高麿が、火事場のなんとやらとはいえあれだけ戦えたのも、もう後ろではあの青いのが守っていたのかも知れない、ていうかずっと傍にいたのかもなあ…と思えるようになったのも今年になってから。前作では、ある時期からもう「若者」はいなくなっていた、と思っていたので。
どっちにしても「高麿を死なすな」は叶わなくて、最後に「光の音」だけが残る、ヤマトとエミシの小さな架け橋が架かって終わる、っていうのは初演も再演も変わらないのですけども。「私が死んでもこの声は消えはしない」っていう言葉どおり、都へは辿り着けなかっただけで、高麿の言葉はきっと届いていったんだろうな…って思えるようになったのが、今回一番嬉しかったことでした。いろんな要素があるけど、100%高麿が自分の意思で戦いきった、それにアテルイが一人の若者の姿でシンクロしていった、あのラストがあったからじゃないかなあ、と。
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コメント
たぶん片帆さんのアテルイ像と私のアテルイ像は違っているとは思いますが、それでもこの記事を読んだお陰で私の中で何かが落ち着きました。ありがとうございます。
投稿: 篠 | 2008/12/15 01:52
こちらこそありがとうございます。私も、篠さんのブログで得た発見たくさんありますし(^^ゞ
同じだ、やっぱそうだよね、と思うところも、違うな、なぜ違うと感じるのかな、と考えるところも、自分の中で発見できて、もっと好きになる糧になればいいなあと。お互い心の目を~(痛いので略)。
投稿: 片帆 | 2008/12/15 07:29